エピローグ
東京の街は、今日も眩さと騒々しさとともに回っている。
駅前の大型ビジョンには新作コスメのCMが流れ、歩道橋の下ではアイドルのゲリラライブが始まろうとしていた。カフェのテラス席では、SNSに投稿するための写真を撮る学生たち。
流行は秒単位で更新され、誰もがその波に乗り遅れまいと早足になる。
輝かしく明るい喧騒の裏側では、しかし闇が蠢めいているというのも世の常である。
「昨日未明、都内の中学校に通う少女が新たに行方不明になったことが確認されました。これまで報道して参りました失踪した少女たちに一定の共通点が見られることから、警察は同一人物による連続誘拐事件の可能性も視野に捜査を進めています」
誰かが眉をひそめ、誰かがその陰で笑っている。大都会は全てを飲み込んでいる。歓声も、沈黙も、恐怖も。誰かの叫びも、誰かの祈りも。それはまるで交通渋滞のように。
その夜、またひとり女子高生が帰らなかった。
──東京
東京ジャム 2010s 1 酒月柚夜 @SAKEYUZU
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