東京ジャム 2010s 1

酒月柚夜

プロローグ

 冗談みたいに鮮烈な人。初めて見た瞬間から、この先彼を忘れることなんて一生ありえないと確信した。


 その日からずっと、彼を目で追うようになった。しかし私からすると、それは追うというより引っ張り込まれると表現した方が感覚に近い。


 事実、彼を目の前にして、彼を見ない人なんていなかったと思う。否応なしに目が奪われる。さもそうであるのが当然かのように、彼の発する不思議な磁力に引きずり込まれる。その感覚は、未知の世界に足を踏み入れるような、好奇と興奮が入り混じったものだった。


 彼は異彩だった。他の誰も持ち得ないその彩りが、ただただ強烈だった。

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