エピソード3
翌日、スタジオなどとの交渉が完了し、次は……と言う個所になっていた
SNS上にある情報はフェイクニュース、もしくはバズりを狙う悪意あるスパム系インフルエンサーの作り出したものである事が多い。
しかし、彼はある場面を目撃しており、その画像も残している。
だからこそ、ガーディアンはあの画像に興味を持ち、ベンヌの存在もフィクションではないと思ったのだ。
(それでも、何かが足りない)
山口はそう考えるのだが、何が足りないのかは即座に出てこない。
ベンヌの存在はフィクションではなく事実だが、それを本当に事実だと認識する人物がいるのだろうか?
すでにブラックバッカラ事件はカバーストーリーが存在し、その内容が一般的な見解、と思っている人が多いのは間違いない。
忍者構文にしても、カバーストーリーが存在するのは事実なうえ、それを信じている人が多いのも事実だろう。
どちらにしてもけが人は多数出ているが、それ以上は一切出ていない。大規模テロ事件と言うと、その程度では済まないケースが多い中で、である。
300年前に何が起こったのか、それを知るような手段はない。タイムマシンでも使わなければ、それを見ることはできないからだ。
「本当の意味で、ブラックバッカラ事件とは……?」
山口はデスクの上でのパソコンでネットサーフィンをしていた中、ある記述を発見する。
「まさか? ベンヌが言及されなかった真相とは……」
その記述を見て、山口は落ち着いていられなかったのは間違いない。
今までベンヌの存在が明らかに嘘である、という認識が多かった理由……それが、思わぬ所にあったのだ。
【
忍者構文事件において、ある意味でもダンジョン
彼のやろうとしていたことは、ある意味でもSNSの炎上だった。そして……と言う具合。
しかし、問題はこの山口が見つけたまとめ記事にあったのである。
「これは、まさか……そういう事なのか」
その内容を黙読し、書かれていた事を半分は受け流そうとしても、そうはいっていられない。
それ位には、衝撃的な内容だったのは間違いないだろう。
青凪の事件、それはベンヌのフォロワーと言う説だったのである。
こちらの事件自体、すでに解決済みであって、いわゆる軽犯罪と言う事で片づけられてしまっていた。
テレビ局のワイドショーも、芸能人の方の話題が視聴率を取れるので、そちらが集中している為、青凪を取り上げるのは、せいぜいネット上のまとめサイトしかない。
その中で発見したこのまとめ記事、山口にはフェイクニュースと断言してスルーするわけにもいかないだろう。
書かれていた内容は、いわゆる忍者構文事件における青凪の行動をまとめたものである。
それを若干補足したような……というもの。
青凪に関しては、山口もそれなりには調べていたのだが謎の個所は多い。
ガーディアンに捕まって以降の記載が一切なかったのである。捕まる前の行動などはネットニュースにもなったというのに。
「これは、もしかして……?」
山口も内容を見て、ふと疑問に思う個所はある。
青凪が消された理由は様々な箇所で取り上げられており、陰謀論のような一言で片づけられているケースもあるのだが、それ以外にも……。
(これ以上、踏み込むのは危険か)
山口としても下手に内容の詳細に触れ、ガーディアンに消されるようなことは避けたい。
忍者構文の事件自体、すでに対電忍として広まっている以上は隠し通せるものでもないだろう。
しかし、ベンヌに関してはワードすら出てきていない上に、カバーストーリーを書き換えるような可能性もある。
それを踏まえ、山口は本当にこの先へ進むべきなのか、少し悩んでいた。10秒ほど……だが。
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