第19話 入学

 何日かして、俺たちはバウンス帝国の首都のバウンスに到着した。この国には忌み子の風習が無いとのことなので、フランシールは髪と目の色を黒に戻している。俺も黒猫に戻った。


「フランシール様は留学ということで入学試験を受けねばなりませんね」

「はい、頑張ってきます」


 入学試験は簡単だったらしい。主席で入学できたそうだ。これから寮生活だが、侍女と猫は連れていけるらしい。王女だもんな。入学式の新入生代表は主席がやるはずだったんだが、この国の皇族が新入生にいるので、そいつがやることになった。


「アベル、シータ、寮生活楽しみだね」

「にゃ」

「はい」


 侍女の名前はシータという平民だ。主に料理をやってもらう予定だ。俺もご飯が食べられる予定だ。入学式が終わって入寮だ。学食があるが使わない。


「アベル様の世話は私がやりますね」


 シータは俺にまで様を付ける。フランシールが授業を受けている間は寮の部屋でシータと共に留守番だ。フランシールが心配だが、学園なので大丈夫だろう。


 今日からフランシールは授業だ。俺は留守番。


「じゃあ行ってくるね」

「にゃー」

「行ってらっしゃいませ」


 フランシールは部屋から出て行った。俺は寝るか。シータの膝の上に乗って寝た。


「うふふ、可愛いなあ。でも昼ご飯の準備もしておかないとね。今日はサンドイッチにしましょう」


 穏やかな時間が過ぎていった。

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