第9話 ユリシスの仕事

 次の日、ユリシスが来た。


「しばらく魔獣討伐の仕事でここにこれなくなっちゃった。ごめんね」

「いえ、いつもありがとう。ユリシス」

「にゃ」

「それじゃ行ってきます」


 ユリシスは去っていった。ユリシスと入れ替わるようにアンジェリカが入ってきた。


「猫ちゃん、フランシール、また来たわよ」

「アンジェリカお姉さま…」

「にゃー」

「お父様に結界のこと報告したんだけど、猫が魔法使ったなんて信じてもらえなくて、フランシールが魔法を使ったことになったわ」

「そうですか…」


 お父様とは王様のことだろう。


「ねえ、猫ちゃん触ってもいい?もう私の物にしようとしないから」

「アベルがいいならいいよ」

「にゃ」


 触るぐらいなら許してやるか。俺は結界を使うのをやめた。


「わぁ、ありがとう。フランシール、アベル。わぁ、可愛いなぁ。ふわふわね」

「ごろごろ…」


 アンジェリカは俺を撫でまわす。


「ふぅ、堪能したわ。それじゃまた来るからね」


 アンジェリカは去っていった。


「アンジェリカお姉さまは母親が違うの」

「にゃ」


 異母姉妹というやつか。


「私、魔法以外も勉強したいなぁ。こんなところにいたら勉強なんてできない。誰か連れだしてくれないかなぁ」


 フランシールは5歳にしては賢い子なんだろうが、勉強してないことで凡人以下になってしまうかもしれないな。

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