最終話 その後の二人
王都パリスでの御前対決を終えたリーザは、宮廷楽師団との対決で勝利した褒美として、国王から金銀財宝や勲章、各種称号(名誉宮廷楽師など)を授与された。
「エリーザベト嬢よ、他に欲しいものはないか?このような素晴らしい演奏を聞けて、朕はとても満足しておる。何でも言うと良いぞ。」
「では、お言葉に甘えまして、全国各地をバイオリン公演で回る許可をいただきたいと存じます」
「ほほう、それはよき考えじゃ。各地の我が臣民もとても喜ぶであろう。だが、しばし待て。もう少しの間、朕はそなたの曲を聞きたい。そうじゃ、全国各地での公演のスタートをこのパリスの王立歌劇場にせよ。ここで10公演ほど行うのだ。その間に各地の手配もさせよう。うむ、これはよき考えじゃ、宰相はどう思う?」
宰相は指で軽く算盤を弾く素振りをして見せると、
「我が国の威信を示す良い機会となるでしょう。ご令嬢だけの旅では危険がつきまとう可能性がありますな。王家で護衛を手配しても良いかもしれませぬ。」
「おお、それは妙案じゃ」
とんとん拍子に話が進んでいく。
これら全国ツアーの会場代や現地滞在費や警備費用などの諸経費は国王持ちとのこと。それなのにチケット収入は全てリーザの懐に入るらしい。何その恐ろしい集金仕様。
ただし、国王主催という形で国王の人気取りに使われるっぽいけど。なんか珍しもの好きなただの温厚なオッサンかと思っていたが、やはり一国の王だけあってその辺はぬかりないようだ。
その代わり、公演の最後にまたここ王都パリスでもう一度公演して欲しいらしい。とはいえそのくらいお安い御用だし、国王陛下にバイオリンを気に入ってもらえたのは何よりだからね。
国王陛下のご配慮をありがたく頂戴させてもらった。
そして王都パリスから始まった私の全国ツアーは、各地で大盛況だった。
ツアー先では引っ張りだこで、観客にまた来て欲しいと涙ながらに懇願されたこともあったし、感動し過ぎた貴族が強引に私を手元に引き留めようともした。
(それは王軍が随行していたので、事なきを得た)
ある公演では、宮廷楽師団が飛び入りで参加してきたこともあった。
ちなみにその地元に音楽団などがいる場合は、彼らを招待して彼らと演奏した。彼らとの演奏は、その地元の観客には私への親近感を与えてやりやすくなるし、既存の音楽とバイオリンの融合こそ、私の狙っているところだからね。
後日談になるけど、共演した音楽団の面々の中で私の演奏に感銘を受けた人の中には、後にひとかどの音楽家として大成するものや、私にバイオリンの教えを求めて、ヴァルデックに押しかけるものも出てくるわ。
そして、ツアーも終盤になり次の予定地はヴァルデック。いよいよ故郷に錦を飾るときがきたわね。
「いよいよ次はヴァルデックね。ほら、カティ。行くわよ?」
「ええー、お嬢様。もうお嬢様のソロだけで良くないですか?今まではなんとかやってきましたけど、知り合いがいる前は無理ですよー。もう、むーりー。」
そうなのよね。このツアーではカティがリコーダーで伴奏で参加をしてくれているの。演奏はまだまだ私には及ばないけど、カティのリコーダーがあるだけで、私のバイオリンの演奏の幅がかなり広がるわ。ソロと比べると数ランク上になるので、もう私のツアーにカティのリコーダーは欠かせないわね。地元に音楽団がない地方都市なんかだと特にね。
それにカティは私とはタイプの違う美人なのでビジュアル的な人気も結構ある。
私と違って貴族令嬢ではないので、私よりも庶民からは親しみやすいという部分もあるわね。なんと王都では、いつの間にか販売されていたカティの似顔絵版画も私の次に人気らしいわよ。前回のツアー先で宮廷楽師団が飛び入り参加したときに、ルートヴィヒたちがそう言って実物を見せてくれたわ。
それを見たカティがすごい恥ずかしがって、思わず自分の似顔絵版画を食べて証拠隠滅しようとしてたけど、買った人に慌てて止められてたわね。
「良くないわ。カティのリコーダーがあると、私のバイオリンの音が数十倍にも映えるのよ。がんばって私の引き立て役をつとめるのよ。それにパパもママもレーテ姉もカティの演奏も楽しみにしてるのよ?」
「ふええ、そんなー。」
私とカティの音楽革命はまだまだ始まったばかり。
これからもバイオリンで、この世界に新しい風を起こしてみせるわ!
Fin
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完結までお読みいただき、ありがとうございました。リーザの冒険はいかがでしたでしょうか。楽しんでいただけましたか?
明日あとがきをアップ予定でそれが最後となります。
本作品は
「宮殿から飛びだせ!令嬢コンテスト」
https://kakuyomu.jp/contests/dengeki_shinbungei_reijyou
に応募している作品になります。
これを書いてる時点では10位くらいですね。
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よろしくお願いいたします。
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