勝率の女神はほほえまない

須藤 彩香

プロローグ

 わたしは春から大学生になる。行きたかった大学には試験問題と見解が対立してふられたけれど、入った大学で何に取り組むかが大切だと、わたしは自分にいい聞きかせた。


 母は大学生になるなら装いも新たにしなくちゃねと、頼みもしないのに買い物に誘ってきた。あなたにはこの服が似合うんじゃないかとか、このバッグが似合うんじゃないかとか、いちいちわずらわしい。それでも、自分の意見をいうともっとわずらわしいことになるので、おとなしくしていた。


 入学式には行けないけれど、何か足りないものがあったら遠慮なくいいなさいね、と母はいうけれど、また買い物につきあわされるのはごめんだ。わたしはこの母のことがちょっと苦手だ。


 そして入学式。わたしの大学生活が始まった。それから、母の名誉のためにいっておくと、入学式のために母がそろえてくれたコーディネートは完璧だった。

(つづく)

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