みんなと同じが良かった。

　みんなと同じが良かった。

　みんなと同じおもちゃ。

　みんなと同じゲームソフト。

　みんなと同じランドセル。

　みんなと同じ服。

　みんなと同じ髪型。

　みんなと同じ×××。

　みんなから違うって言われたけれど、よくわからなかった。

　みんなから違うって言われだしたら、嫌なことをされることが多くなった。

　それからお医者さんがお話してくれたけど、よくわからなかった。

　白いお砂とかを使って遊んだけれど、どうしてそれをするのかもわからなかった。

　パズルみたいなものとか、テストみたいな紙を渡されたけどわかるものとわからないものがあった。

　そんなことをやってから数年後、物心がついた時には名前をつけられた。

　それから薬を出されたけど、それを飲んでも効果はわからなかった。

　それに、名前がついたところで良くなることはなかった。

　それから更に十数年後、社会で生きていくことができなくなっていた。

　怒られることが多くなった。

　何かと当てられることが多くなった。

　それからは朝が起きられなくなっていった。

　そうして、どんどん壊れていった。

　みんなと違うことがこんなに生きにくいだなんて、思ってもみなかった。

　でも、もう自分でもどうしたら良いのかすらもわからなくなっていた。

　気がつけば仕事がなくなって、無職となってしまった。

　生活の仕方がわからない。

　生きていく方法がわからない。

　みんなと同じように生きたかった。

　みんなと同じように生活がしたかった。

　みんなと同じが良かった。