煙のような出来事

sazo

第1話 口づけのような邂逅

『ふー・・・』

息を吐いて、霧散した。


儚い、煙を見つめる。口の中に残る香りと味がどこか甘くて苦い。

僕は君と出会ったのは、同じ場所で違うような場所だった。


星が煌めくように、でも騒がしい場所。店内に広がる匂いは独特だった。


『ようこそう』と言って笑いながら迎える君にいつかしか、感動して夢中になっていた。


いつものように座る場所はカウンターの3番目の席。

君は今日はどうする?といつものように尋ねてくる。僕は困らせるように

『失恋したようなもの』と言って頼む。

そうしてできる、甘酸っぱい味でどこか、君を思わせるような香り。


先のことはわからない。でも、ここがある限りは君に会うために通う。


星くずのような煙を吐きながら、君と話す内容はいつだって僕のことだった。本当は君のことを知りたいのに言葉にできずにいる。


気づいたら君に会うために他の人に出会う。気づいたら友達になっていた。

この場所は君が作って、僕らを繋げた。


こんな素敵な場所をありがとう。



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