第32話 私情警察8 ~後編~ 海軍の拷問【キールハウリング】

外道たち8人の身柄を確保したオレは外道たちをロープで両足を縛った。

みんな同じじゃつまらないから…オレは少しふざけることにした。

ひとりは両手だけ縛り、別のやつは両足だけ縛るなどいろいろ試してみた。


「さてと、準備はできたか…。波は…まぁまぁ荒れてるな」


今回の拷問はいつもと少し趣きがちがう。

拷問というのはなにも陸地だけではない。

海や山でもすることができるということをこいつらに教えてやる。

今回するのは海を利用した拷問だ。外道たちと手すりを特殊なロープでつなぐ。

ガッチガチに結んであるからそう簡単には千切れないハズだ。

オレは外道をロープで手繰りよせ、持ち上げた。


「さぁ、人生最後の海水浴を楽しむといい」


そして船から外道の一人を無造作に放り投げた。


バシャン!


「!$’)*‘……!?」

「うん、良い写真が撮れたぞ」


パシャ! パシャ!


「$(&’!”##!!」

「よぉし、どんどん行こうかぁ!そうら、よ!」


次々と残りの7人を海に放り投げた。


「さぁ、楽しい楽しいクルージングの始まりだ~」


オレは操縦席に合図を送ると…途端に船のエンジンが鳴り出した。

途端に水面をかき分けて勢いよく船が海上を走る。


「がぼぼ、ぐべべぇええ!」


これは海軍が行ったといわれる拷問【キールハウリング】である。海軍が海賊を捕まえた際に行ったといわれている。海のならず者たちにちょうどいい拷問だ。方法もとてもシンプルで、外道を縛ってから海に放り投げるだけ。あとは気ままにクルージングを楽しめばいいだけだ。


ボオオオォォォォ………!!


少しずつ船がスピードを上げていく。…かと思ったら減速する。

ときには左に旋回したり、右に旋回したり…。

船員たちが苦しむ外道どもを見て、ニヤついている…。

仲間を失ったことがよほど腹に据えかねていたのだろう。


「さぁて、外道ども…ハーフタイムだ」


定期的にロープで引き上げる。カンタンに死なれちゃかなわん。

中には捨てられた子犬のような眼をしてオレを見たが……


「助けるわけねーだろ!!もっと苦しめ!クズが!!」


そして、一分くらいしたらまた、海にドボン!これの繰り返しだ。

ただそれだけなら息苦しいだけだが…わざと旋回したり減速したりすることで船とぶつかりダメージを与える。船底にはフジツボやエボシガイがついているので、それで全身の肉が少しずつ削がれていくのである。ちなみに名まえの由来であるが、キールというのは船底を意味する。つまり船底キールが吠えたり泣いたりすることからこの名前がついたんだそうだ。


ヴイイィィィン………


2時間ほどクルージングを楽しんだ。


パシュン! パシュン!


オレは拳銃で外道のロープを解いてやった。


「#$%?」

「さぁ、おまえは自由だ。どこへでも行くがいい。俺たちは帰るがな」

「%&’$#”……$&(!#%’………!!!」


気が付くと外道のまわりには黒いカゲが何体か忍び寄ってきた。

海面に浮かぶ三角形の立派な背ビレ…。ざっと10匹くらいだろうか。

たしか、1キロ離れていても数滴の血液を嗅ぎつけられると聞いたことがある。

船底のフジツボとオレの拳銃で血が流れているんだ。充分な量だろう…。

そう、あの黒いカゲの正体は…サメだ。


「”$%#<*?+………!?」

「$#$%$’’’………!!&>?*!!!」

「>”$*”%‘$&%’!!!」


外道たちは…サメに食われ、海中に引きずり込まれてしまった…。

海洋生物の保護を訴えていたのに…。

海洋生物に捕食されてしまうとは、なんとも皮肉な最期だ。


こうして今回の依頼は無事に終了した。

オレは依頼者である九条さんや船員たちと握手をしてその場をあとにした。

そして後日、あらためて依頼完了の知らせをおくった。

事の顛末をなるべく依頼者がキズつかないように言葉をえらんで…。

そして、外道たちの苦しんだ表情の写真とUSBを同封して送った。


それから数日後、オレは津木田がくれた黒いカードのお店に行ってみた。

表向きはふつうのおもちゃ屋だったが、カードを見せると裏へ案内してくれた。

くわしい話はいつかするとして…

結果だけ報告するといろんな非合法の武器や防具が手に入れることができた。

津木田の名まえを出すと、拷問器具もレンタルしてもらえるようになった。

今後の外道たちに…さらに質の高い地獄を見せてやることができそうだ。

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