第7話、次の街へ
「そうですか、もう行ってしまわれるのですね」
翌々日、本当は次の日にも街を出たかったんだけど、何故だか体がダルくて。テツにぃも動き難そうにしていたから、もう一日だけ休んでいたんだ。
ダンジョン前のギルドで出発の報告をすると、ミミさんから寂しそうに言われた。ミミさんの目は僕の耳をジッと見ていたけど何かな?
「あの、一度だけ耳を…… あっ……何でもありません」
何か言い掛けたけど、他の職員さんに声を掛けられて聞きそびれてしまったや。
「アベル、そろそろいいか?」
テツにぃの準備も終わったみたい。
「うん! じゃあミミさん! お世話になりました!」
ミミさんと手を振って別れ、ギルドを出ようとした時。
「あっ、ルルだ」
ちょうどギルドへ来たのだろう、ルルもこっちに気がついて近寄って来た。
「こないだはありがとうにゃ」
「無事で良かったよ、身体はもう大丈夫?」
「大丈夫にゃ、もう行くの?」
「うん、次の街に行くのさ」
「そう、二人なら大丈夫と思うけど、気を付けてにゃ」
ルルちゃんは少し話してくれた、嬉しい。
「テツ君もアベル君も元気でにゃ」
そう言ってルルちゃんはギルドに入って行き、僕たちはギルドを出た。
街の門を出て、街道を進む。
「楽しかったね、テツにぃ」
「散々だったけどな!」
楽しい旅がまた始まった。
◀▶︎ ◀︎▶︎ ◀︎▶︎ ◀︎▶
「ミミさん、ダンジョン入るにゃ」
ルルは、受付にいるミミに声を掛けてダンジョンに入る手続きをするために冒険者証を出した。
「ルルちゃん! もう大丈夫なの?」
「大丈夫にゃ、なんか昨日より元気にゃ」
「?」
ギルド職員のミミは、ルルの言葉を不思議に思いながら冒険者証を確認する。
「えっ?」
「え、何にゃ?」
「これ」
そう言うとミミは、冒険者証に書かれたレベルをルルに見せる。
「四?!」
「やっぱり四ですよね? ルルちゃん一昨日どれだけ魔物倒しました?」
「ほとんど倒して無いにゃ、魔物と戦わないように逃げながら下の層に行ったにゃ」
「ちょっと確認しますね」
「ルルちゃん?! このダンジョンをクリアした事になってますよ!」
「そんな事ないにゃ?! 私はボス部屋で寝かされていただけで戦ったのはあの二人にゃ」
「本当に何もしませんでした?」
「あっ、最後に投石器でボスの顔に石を当てたにゃ」
「それです! ルルちゃんにもボスへの攻撃判定が認められてレベルが上がったんですよ!」
「けど、私はパーティにも入ってなかったにゃ」
「パーティ? パーティには入ってますよ」
と言って見せて貰った私の冒険者証には、しっかりとパーティ欄に二人の名前が入っていた。
「私? 私がアベル君とテツ君のパーティメンバー?」
「きっとボス戦に入る前にパーティ登録されたのでしょうね。そして解除されずに行かれてしまった」
「え!?」
あわてて外を見ても、二人はもう何処にもいなかった。
「これ、どうなるにゃ?」
「私も詳しくは知りませんが、噂によると一緒に行動していなくても僅かに経験値が入ってくると言う話もありますよ?」
◀▶︎ ◀︎▶︎ ◀︎▶︎ ◀︎▶︎
別れ際、テツにぃがルルに話してるのが聞こえたんだ。
ルル、もしこの街に未練がないのならセールの町に行ってみな。あの町は今すごく変わろうとしている、ルルが得意としている事が役に立つかも知れない。行ったらオレの父さんを頼りな、町でゴウの家と言えば分かるから。
あと、オレの妹。リリって言うんだけど友達になってやって欲しい。
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リリちゃーん、ユユさーん、猫ちゃんが遊びにきたよー。
キャーかわいい!
やっぱり馴れ馴れしい奴は嫌いにゃ!
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