Ⅶ 手紙

ぷぴ27 あした風

 私は直ぐに大きくなった。


 シルヴィー・アモンとしてフラン国の初等科へ入学したのも間もなくのこと。宣言した通り、シルヴィーもパッチワークの移動販売パン屋と【精霊の長娘】の仕事を非の打ちどころなくこなした。海辺の市場へは時折出掛ける。パッチワークの手仕事もせっせとがんばった。


 学校は中等科と高等科へも進学した。高等科には選択肢があり、私は家庭科を選んだ。


 コココは新しく卵をあたためてヒヨコを孵したが、山羊のウイエもフルールも体が辛そうなのでもう繁殖はやめた。まーまの実家にいる山羊から近く引き取ろうと話をしている。

 

 周囲は今更畜産や農業に家庭科かと笑っていたけれども、基礎からきちんと体系だてたい。


 そして、『シルヴィーと家族の手捏ねパン繁盛記』も段々と厚くなってきた。毎日の売れ行きを記すのではなく、倣って書くことがぱーぱに寄り添っている実感がある。


 ぱーぱの『パンノート』の方が実用的だが、私のは日記みたいなもの。お喋り上手な記述だ。


 誰も予想しなかったことに、将来の伴侶がある。素敵な出会いがあった。高等科で知り合ったオスカー・ボワイエはぱーぱよりハキハキしている。心根はあたたかくて、一緒にいたい方だ。


 アモン家の黄色い家から通学している。道端の花は単に野生の花々ではない。一輪ずつ種や球根に素敵なお母さんと優しいお父さんがいるんだ。


 ああ、風が心地よい……。

 ありがとう、【シルフ】や皆。

 私は【精霊の長娘】として、出会えてよかった。


 結婚して赤ちゃんに恵まれたとき、ピンクのリボンを解こう。

 私からの名前の次に大切な贈り物だ。


 新しい世界で新しい生き方ができたのは、二人の大切な家族のお陰だ——。

 


 ——あした風が吹くように、私の感謝の想いをのせておくれ。



【ぷぴっと赤ちゃん無双シルヴィーと家族の手捏ねパン繁盛記 完】

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ぷぴっと赤ちゃん無双シルヴィーと家族の手捏ねパン繁盛記 いすみ 静江 @uhi_cna

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