#04 もう一度

@tka__a0211

第4話

あの出来事から半年が経った ──


今でも、晴翔くんを思い出す度に胸がチクッと痛む。

「もう一度やり直したい」その気持ちと同じくらい、

「怖い」そんな感情も生まれていた。


そんなある夜、

スマホに届いた1つの通知が、私の心をざわつかせる。


「CDリリース記念イベント2S会・お渡し会決定!」

 


── あの夜と同じだ。


胸がぎゅっと締め付けられ、色んな感情が襲いかかる。

また、同じ思いをするのが、怖い。


でも ──


この場を逃してしまったら、きっと私はこのまま前に進めない。

「もう一度、ちゃんと晴翔くんと向き合いたい⋯」


 そう思った私は、手が震えるのを抑えながら

 応募フォームを開き1つのボタンを押した。




応募を終えたあと、スっと心が軽くなったような気がした。

けれど、落ちた時の自分を想像し怖くなる。


「神様、晴翔くんとお話できるチャンスをもう一度ください。」

そう願い私は瞼を閉じた。


次の日からはいつも通りの日常に戻った。

学校に行って、バイトに行って同じような日を繰り返していた。

でもわたしは、ふと考えてしまう。


"そもそも当たるのかな"

"当たったらどうしよう。"

"また失敗しちゃうのかな"


追い詰められていても、時間は過ぎていくばかりであっという間に

 当落日の夜 ──

 


慣れるはずの無い当落。

 私は震えながら、画面をスクロールした。



「晴翔 2s会 当選」

「晴翔 お渡し会 当選」


私の目に映る当選の2文字

「⋯しかも両枠当たっちゃった」


「怖い」という感情

もちろんあるけれど、それ以上に「嬉しい」と思っていた自分がいた。


 今思えば、この時点で


前に進み出していたのかもしれない ──

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