白銀のイコロ(軽量版)
ねこぷりん(猫姫)
あらすじ 第一部
時は明治。13歳の少年志伸は、家族の転勤で東京から開拓の始まったばかりの北海道旭川村へ移り住む。
北海道の大自然、そしてアイヌの少女ナホルゥとの出会いを通じて志伸は新たな土地でいきいきと過ごす。2人のつながりはやがて、明治政府のアイヌ同化政策で対立していた、旭川村とカムイコタンの集落との対立も融和させていく。
2人は思春期に入りお互いを意識するようになる。北海道の美しい大地に包まれながら、2人はずっとこれからも一緒にいる事を信じて疑わなかった。
しかし、時代の流れはそれを許さない。
志伸とナホルゥが15歳の春、日清戦争が勃発する。志伸の家族は政府の命令で大阪に転勤になる。そこで、ナホルゥは志伸にある提案をする。彼女の父の形見のアイヌ刀ーイコロ(宝)と、志伸の持っている彼の家に代々伝わる小刀を交換しようと。ナホルゥは彼女の精一杯の心を込めた
「離ればなれになっても私達は一緒」
しかし、志伸はこれを断る。彼は運命に翻弄される自らの無力感を覚え、ナホルゥの気持ちを縛り付けたくないと思った。ナホルゥは呆然とするしかなかった。
志伸は旭川を離れた。多くの見送りがある中に、ナホルゥの姿は無かった。
「馬鹿だな僕は」
そう思いながら志伸は北海道の地に別れを告げた。
その離れゆく馬車を小高い丘からナホルゥはジッと見つめ別れを告げた。
第一部 終
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