　暴力は金銭に似ている。とは、銃規制反対派フェミニストのD・A・クラークはの言葉だ。それは次のように続く。

　金銭は、あなたを幸福にしないし

　金銭は、あなたの魂を救いはしないし

　金銭は、あなたをより善い人間にはしない

　しかし、暴力は、いくつかの事は解決する

『「アメリカのフェミニズム」の暴力志向を考える：憲法修正第二条と民兵と脱国家世界の市民像』藤森かよこ著　68p

　非暴力による解決は理想である。暴力を用いなくても平和に暮らせるのが理想である。

　しかし、現実はそうではない。理想世界の実現を待っている合間にも被害者は増えていく。

　もし、ただの犠牲者に甘んじたくなければ、極限において暴力を選択しなければならないだろう。

　というのが上記の発言の意図している事なのだが、本作品においてもそれは当てはまる。

　自分を救う最後の砦は暴力だ。主人公と同じように、人は誰しもが何かしらの暴力を懐の奥に忍ばせておくべきなのだ。

暴力：A　読みやすさ：A 面白さ：B

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