佐渡ヶ島のエレーナ少佐 (近未来戦記①)
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ジトコ大将、中国人民解放軍に憂慮す
ジトコ大将、中国人民解放軍に憂慮す1(2022年3月のnote記事よりの転載)
※ジトコ大将、中国人民解放軍に憂慮す(1)よりの転載
https://note.com/beaty/n/n799c8c3b5419?magazine_key=m404545b63953
※画像はnote記事を参照のこと。
ゲンナジー・ジトコ大将(ロシア連邦軍、東部軍管区司令官)
中国人民解放軍に憂慮す(1)
平和(ボケ)の国家、日本国の国民だと、自衛隊は一枚岩で、防衛大臣直轄部隊から構成され、戦時(敵国が日本国領土に侵攻した状態)では、自衛隊法第七条(憲法上軍隊ではないので、日本国憲法には明記されていない、戦時を想定していないおかしな法律)で内閣総理大臣が自衛隊の最高指揮監督権を持つとされている。
陸上自衛隊の部隊は、方面隊、陸上総隊その他の防衛大臣直轄部隊から構成され、その所掌事務に係る幕僚機関として陸上幕僚監部が設置されている。定数は約15万2千(即応予備自衛官を除く)。予算は約1兆7千億円。
海上自衛隊の部隊は、自衛艦隊、地方隊、教育航空集団、練習艦隊その他の防衛大臣直轄部隊から構成され、その所掌事務に係る幕僚機関として海上幕僚監部が設置されている。定数は約4万5千。予算は約1兆5百億円。
航空自衛隊の部隊は、航空総隊、航空支援集団、航空教育集団、航空開発実験集団その他の防衛大臣直轄部隊から構成され、その所掌事務に係る幕僚機関として航空幕僚監部が設置されている。定数は約4万7千人。予算は約1兆8百億円。
令和の現代、例えば、陸自の方面隊や海自自衛艦隊、空自航空総隊が226事件のようなクーデターを起こせるか、というと、シビリアン・コントロールが効いていてまず不可能だ。アメリカ合衆国軍も同様。陸軍・海軍・空軍・海兵隊・宇宙軍を国防長官が掌握し、最高指揮監督権は米国大統領である。
西側諸国はまず同様。
ロシア連邦はロシア連邦大統領に統帥権が認められている。ウラジーミル・プーチン大統領である。
中華人民共和国はどうかと言うと、中国は国家の軍隊を持たない。
人民解放軍は共産党という政治組織の軍隊であって、中華人民共和国の国としての軍隊は存在しない。
中国共産党は中国という国家の上位に位置する。
最高司令官は、中国共産党中央軍事委員会主席で、言わずとしれた習近平国家主席が中央軍事委員会主席でもある。
では、ロシア、中国は、プーチン大統領、習近平国家主席兼中央軍事委員会主席が掌握しているかと言うとそうじゃない。
ゲンナジー・ジトコ大将が参謀長と言っていたように、ロシアは5つの軍管区を持つ。西部(フィンランドとかポーランドに接する)、南部(ウクライナとか黒海沿い)、北部(モスクワなど)、中央(カザフなどの中央アジア、モンゴルに接する)、東部(モンゴル、中国、日本に接する)の五大軍管区。
中国は2016年まで7つの軍区に別れていたが、習近平がそれらを統合して5つの戦区にした。
西部戦区(成都中心のチベットやウイグル方面)、北部戦区(瀋陽中心、ロシア・北朝鮮と接する)、中部戦区(北京中心)、東部戦区(南京中心、台湾と接する)、南部戦区(広州中心、南シナ海方面)の五大戦区。
西側と違って、ロシア・中国の軍管区、戦区は、各々の総司令官が総括する軍閥のようなものだ。一朝事があれば、ロシア革命の時のボルシェビキやメンシェビキ、清朝末の北洋軍閥みたいに割拠してしまう可能性が大きい。
だから、ロシア中央軍管区のウラジミール・ザルニツキー大将、東部軍管区のゲンナジー・ジトコ大将らが内緒話をしていたように、東ロシア共和国なんてクーデターをしてしまう恐れもあるのだ。プーチンは気が気ではない。
中国も同じ。2016年までの7軍区を5戦区にしたのも、特に言うことを聞かない北部戦区(瀋陽中心、ロシア・北朝鮮と接する)を念頭に廃止統合を行ったが成功したとは言えないようだ。
北部戦区は中国朝鮮族が多く居住し、習近平国家主席に逆らってでも北朝鮮を支援したい軍閥だ。
そこで、中央軍事委員会主席を兼任する習近平国家主席は、共産党による「シビリアン・コントロール(文民統制)」や軍中央の統制力を強化するべく、軍制改革を大胆かつ独善的に進めた。
習近平国家主席は、人民解放軍の観兵式における演説で、「軍は共産党の指導下にあり、党への忠誠を誓わなければならない」と強く兵士たちに訓示した。習近平の不安が透けて見えるようだ。
習近平の2016年の人民解放軍の再編は、
1.かつて軍区が有していた軍区内の兵員・装備に関する整備といった軍政は、中央軍事委員会に新設された『国防動員部』へと移譲。戦区は作戦立案と、作戦に沿った訓練・演習に特化2.戦区内に所在する陸海空軍やロケット軍の各軍種、民兵や予備役などを、戦時でなくとも統合運用できることとなった
の2点。軍種間の意思疎通&協力を阻害する縦割りや装備・業務の重複・無駄をなくし、「実戦的体制を構築し、現代戦に適合させる」というが、実態は軍閥に近かった軍区の、習近平派による解体だった。
特に最精強を誇り、機動力にも優れる北部(瀋陽)軍区は、習国家主席にとって目障りどころか、政治生命すら左右する超危険な存在であった。改革後も、北部戦区と名前を変えたに過ぎず、今もって瀋陽軍区のままの、依然として超危険な存在だ。
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