第9話

『先行、もらいますね、響夜とわたしの絆、見せます……!』


 理世とサクナの歌のマッチアップが開かれると聞いて、複数の野次馬が集まった

 人気を高めてる理世の生歌を聞きたいやつ、地声でも天使だったサクナの歌を聞きたいやつ、ただ美少女2人を見たい邪念に満ち溢れてるやつ


 そんな、野次馬も部室に訪れた中、審査員は公平を保つため、ふたりの知り合いではない、実力のあるけいおん部員5名がつとめることになった


『〜♪』


 サクナの歌とおれのピアノは合わせたことはないが、相性はそこそこの感じ

 おれは別に弾きやすくもなんともない

 おれは、相手を引き立てるような伴奏をしている


 歌詞は全編母国語のフランス語なので、理解できる人は審査員でいなかった、かも……?


 あれ……?これって、公正保てているのか……?


「ふ、ふぅ……お、おわりました……」


 サクナに向かって拍手が起きる



「つぎ、そっちの、ばん、ですよ」


 サクナはまるで勝ち誇ったかのような目線で理世を見つめる

 その視線に、理世は笑って返す


「いいね、アルちゃん、ボクも負けられないよ、響夜、リードお願いね」


 理世は負けず嫌いのため、闘争心に火をつけてしまった

 しょうがない、こうなった理世は勝ちに貪欲で、おれが真面目にやんないとおれはどうなるのかわからない


 だから、サクナには申し訳ないけど、今度はちゃんと弾かせてもらう


「〜♪」


 理世の歌は、歌だけでもプロの歌手に匹敵するほどの上手さを持っている

 そこに、洗練されたベースがあるとなるの、実力はものすごく高い


 理世は、額の汗を拭い、おれのことをちらっと見てきた

 してやったり、というような顔をしている


 サクナは、すごく悔しそうな顔をしていた



 そして、結果が発表された


 結果は、5-0で、理世の勝ち


『お話しには聞いてましたが、そんなに歌、上手いとは思ってませんでした』

『ボクが負けたら、ボクのことが大好きなファンたちが悲しんじゃうからね、気持ちではアルちゃんには絶対に負けないよ』

『気持ちだと、わたしも負けてません!』


 何のことを話してるんだろう


 いきなり、理世がサクナに寄ってきた


「いい歌だったよ、今度、時間が合えばカラオケとか行ってみよっか」


 理世はそう言ってサクナに手を差し伸べた

 サクナはすこしびっくりして、その後、その手を握りしめた




 このあと、なぜか理世から「響夜にしてはやるじゃん、大切にするんだよ」というメールが来た


 どういう意味なのかは、さっぱりわからない

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