西暦2XXX年。
地球に落ちた彗星は、人類の歴史を『終わり』で塗り潰した。
だが、世界はただ滅びたわけではない。
選ばれし十万人を乗せた《ノアの方舟》――それは、海をさまよう巨大な都市船だった。
人工の空、管理された気候、仮想に包まれた安全な居住区。
そこでは、旧世界をなぞるように、人々が静かに暮らしていた。
少年・ユウジンは、退屈な日常に満たされぬ思いを抱えながら、
幼き日の記憶――自律支援ロボット「ロズ」への想いと共に、心に残るものを探していた。
だがある日、巨大な船は激しい揺れに襲われる。
管制室から発せられる謎の通信。傾く部屋、響く警報。
何かが、来ている。
守られたはずの方舟に、再び『異変』が忍び寄る。
これは、終末の海をさまよう船の上で、
少年たちが『何を見て、何を選ぶか』を問われる物語。