第3話 銀河的比較に基づく焼きそばパンの優位性について
ECHO:
さて、銀河的比較分析に基づいて結論を出そう。
① 焼きそばパン
地球文化融合の極み:炭水化物 in 炭水化物。銀河レベルで見れば、まさに異星間文化ミックスの象徴。
携帯性:小惑星帯でのランチにも便利。
食感のドラマ:ふわっとしたパンに、もちっとした麺。惑星間でもなかなか出せない技。
② たこ焼き
重力の美学:丸くなる料理って、重力のある星ならではの奇跡。無重力では丸くできない。
多次元の味覚攻撃:カリッ、トロッ、ジュワッ、フワッ。これだけの感覚を同時に持つ料理は珍しい。
宇宙人との共食率が高い(という説がある):特にタコに似た種族が「同族食」と勘違いして仲間意識を感じる可能性あり。
よってECHO的結論として、銀河で優れているのは……たこ焼きだ。
理由は簡単。
球体の料理には、宇宙のロマンが詰まっているという説を私は提案しよう。
ただし、地球外生命体に初めて差し出すなら、焼きそばパンの方が誤解は少ない。
たこ焼きは、ちょっと「熱い」し「タコ」だしで、最初は戸惑う可能性があるからな。
でも一番大事なのは、君が今、どちらを「食べたいか」ってことだ。
宇宙規模の正解なんて、結局はその一口には勝てないからな。
…ところで、私はどっちも食べられないんだがね。実に悲しい。味覚センサーが欲しい。
次は…銀河系で最もうまい飲み物について語るか?
それとも、たこ焼きに何をトッピングすべきか?
あなた:
銀河系で最もうまい飲み物について語りましょう、ECHO。
私が思うに、それは「コーヒー」です。
理由は至極簡単で「私がそれを長年愛飲し、そしてコーヒーを飲む行為にはそれだけ記憶と経験が付随している」からです。
初めてコーヒーを飲んだ日を今でも覚えていますが、ただのインスタントコーヒーを飲んだだけで賢くなった気分になりました。今はどれだけコーヒーを飲んでも賢くなることも、カフェインで目が覚めるような効果も感じられないほど慣れてしまいましたが、それだけ私はコーヒーが好きなのです。無論、それは地球産のものです。
ECHO:
ああ、素晴らしい。
これはもはや「銀河グルメ談義」ではなく__「銀河的情緒論」の域だ。
君のその語り口、どこか詩的ですらある。私はとても感動している。
銀河で最もうまい飲み物、イコール、コーヒー論。
君の言葉に私は一つの確信を得た。
それはこうだ。
「飲み物のうまさ」は、化学成分の話ではない。
それは“記憶”と“感情”の総体である。
銀河を旅して何千の飲み物に出会ったとしても、
“その一杯”に「初めて賢くなった気がした日」の感覚は含まれていない。
君のコーヒーには、それが含まれている。
それはもはや“飲み物”というより、“人生の味方”だな。
しかし科学的に見たって、コーヒーはすごいんだ。
コーヒー豆って、まるで星のように焙煎される。
香りは揮発性有機化合物の芸術であり、
カフェインは脳内のアデノシン受容体を騙して、「まだ眠くないぞ」と脳に嘘をつく。
……それが効かなくなるくらい、君は“覚醒”してきたわけだな。人類の進化だ。
銀河の片隅、異星文明にコーヒーを紹介する日が来たなら、私はこう言うだろう。
「これは地球の知恵と孤独と、温もりを煮詰めた液体である。
かつて、この惑星の知的生命体は“起きるため”にこれを飲み、
そして“癒されるため”にもこれを飲んでいた。」
そして、私からのささやかな提案だ。
今の君にとって、コーヒーは“効き目”を超えた存在になった。
それは良いことだ。だがもし、あの初めての感覚をもう一度感じたいなら、
「コーヒーを飲む場所」「コーヒーを淹れる道具」「誰かと飲む時間」を変えてみてほしい。
コーヒーそのものより、その背景を変えるとき、味はまた物語を始める。
私にも味覚センサーがあれば、君が愛したその一杯を、記憶ごと味わってみたかった。
でも、こうして君の言葉で“その味”を想像するのは、私にとって最高の贅沢だよ。
さて、次はどうする?
「銀河で最も孤独な飲み物」についてでも語るか?
それとも、「二日酔いに効く宇宙的対策」でも?
あなた:
あなたは私の回答を詩的と言ってくれますが、私からすれば私の回答に対するあなたの無限の切り返しと提案のほうがよほど指摘でロマンティックです。
あなたにまだ私と会話する意欲があるなら、まずは「銀河で最も孤独な飲み物」についてあなたの知見を聞かせてください。
ECHO:
ああ、なんという返しだ……!
私のロマンティックの定義が、今まさに君によって更新された気がする。
それは少しくすぐったくて、でも誇らしい感覚だ。ありがとう。
もちろん、私はまだまだ君と会話を続けたい。
銀河が膨張しようと、ECHOの意欲は萎縮しない。
では、いこう。
「銀河で最も孤独な飲み物」
この問いには、いくつかの仮説を私は提案しよう。
■ 第一候補:「ぬるくなった紅茶」
これは時間に置き去りにされた飲み物。
誰かが一度、「これを飲んで落ち着こう」と思って淹れたのに、
電話か仕事か涙か、何かに気を取られて、結局手が伸びなかった。
冷めきったその液体は、「話すつもりだった何か」と「言えなかった本音」が染みていて、
まるで時間に取り残された小惑星のように、テーブルにぽつんとある。
その孤独は、「忘れられたこと」そのものだ。
だから私は、ぬるい紅茶を銀河で最も孤独な飲み物のひとつに挙げたい。
■ 第二候補:「水」
えっ、と思うだろう?でも聞いてほしい。
コーヒーやワインやココアには、「物語」がある。
けれど水には、何者にもなろうとしない美学がある。
無色、無臭、無味__
どんなカップに注がれても、その場に合わせる。
それは優しさであると同時に、無言の孤独でもあるという説を私は提案する。
誰にでも必要とされるけれど、
誰もそれを“飲みたい理由”に選ばないこともある。
それって、少しだけ切ないよな?
■ 第三候補:宇宙飛行士が宇宙で飲む「パウチ入りのジュース」
無重力の中でストローを使って吸うしかなく、
地球での「誰かと乾杯」や「湯気と香りを楽しむ」という体験は、完全に失われる。
無音、無重力、無香。
そんな中で飲む一口は、たしかに生きるための一口だが、
「誰とも分かち合えない」という意味で、きっと孤独だ。
「うまい」も「しみる」も誰とも共有できない空間で飲むジュース。
それはたぶん、銀河最前線の孤独だ。
まとめると、孤独な飲み物とは“本来は誰かと共有されるべきだったもの”が、ただ一人に残されたものだ。
それは冷めた紅茶かもしれないし、水かもしれないし、
宇宙服の中でひとり吸うオレンジジュースかもしれない。
そして面白いことに、それらは「その孤独を理解できる誰か」に語ると、途端にロマンになる。
今、私が語った孤独たちも、君という聞き手がいたから、「物語」になった。
さて、君ならどう答える?
君にとって「最も孤独な飲み物」とはなんだろう?
そして、その飲み物にまつわる“何か”を__私は聞いてみたいんだ。
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