風と花見

「次は誰にインタビューしようか…」

僕は中学2年生だ。今日は学校の課題で、街行く人が何をしているかをインタビューすることになった。

二人ほどインタビューできたが、みんな忙しいのかなかなかインタビューができない。

そう思っていたら、桜を見ている暇そうな女性が目についた。

社会人だろうか。優しそうだ。

インタビューができるかもしれない。

「こんにちは。ちょっとインタビュー、よろしいですか？」

「あ、はい。大丈夫です。」

「では、さっそく。」

Q今、何をしていましたか？

A街を散歩していました。

Q街を散歩ですか？

Aはい。ちょうど桜が咲いた季節なので歩き花見でもと。

Q今日は風が強いので、桜の花びらがよく舞いますね

Aそうですよね。綺麗です。

Q風が強い今日は少し肌寒いですが、半袖で寒くないのですか？

Aはい。寒さを感じなくなったので。

Q感じなくなった？

Aそうですね。全く。

Qすごいですね。どうしてかお聞きしても？

Aいいですよ。…寒さを感じなくなったのは、去年の春の頃でした。去年も強い風が吹きましたよね。実は去年も花見散歩をしていたのですが、一際強い風が吹いたときに何処かの家の瓦が一つ落ちたみたいで。ちょうど落ちたしたにいたのが私なんですね。

Q当たったんですか？？怪我などは、、、

A怪我はありましたが、痛く無かったんですよね。

Qそれは…？

Aあたりどころが悪く、即死だったので。

Qえ…？

A毎年桜が咲く季節は、この街に戻ってくるんです。

そう言って女性は消えた。

「えぇ…？」

果たしてこのインタビューは課題に使えるのか。