第15話 悲鳴

 なぜジェイムは人間の私よりも、人形のエミリーの方が気になるのだろう。

 人形のエミリーなんてお話も出来ないのに、なぜエミリーと一緒に居たがるのだろう。

 だんだんとエミリーが憎らしくなってきて、

「こんな人形なんて要らない、無くなればいい」

エリーザはそう言うとエミリーの手を掴んで部屋の外へ引っ張り出して、エミリーの体を階段の下へ放り投げてしまいました。

 その時エミリーの悲鳴が大きくエリーザの頭の中に響きました。

 エミリーが階段を転がりながら落ちる音が家中に響いて、「キャー」という誰かの悲鳴が聞こえてきました。

 そして同時にエリーザも胸を押さえて床に倒れ込んでしまいました。

 苦しくなった胸を押さえてあえいでいるときに、エリーザは突然思いだしました。

 人形店で店主がエリーザにポーズを取らせて、それを店主がスケッチしてエリーザの姿を写し取っているときに、エリーザに大切な話をしたことを。

                                 つづく

   

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る