マグロ案件・クジラ案件・エビス案件
しのびかに黒髪の子の泣く音きこゆる
【月収100万】エビスの釣り方教えます【フードデリバリー新時代】1/5
松尾ダイスキ
2025年6月13日 01:49 ¥700
1.はじめに
フードデリバリー配達員の皆さま、稼いでいますか!?
私、松尾ダイスキも大学に通いつつ、毎日新宿の街を走っています。
近頃はどこも単価は低いし、前に比べて全然鳴らなくなっちゃって…皆さまもそうでしょう?
そんな中、我々の希望となっているのが「マグロ案件」・「クジラ案件」だったりするわけですが。
ところで近頃「エビス案件」なる新しい案件を耳にしたこと、ありませんか?
この「エビス案件」、すごいです。
1回で数万、いや、10万【編集済:2025/8/14/1:24】!
釣りまくれば月収100万も夢じゃない。
もうフードデリバリー新時代、到来ですよ。
ただ…
「エビス案件」の釣り方がわからない😂😂😂
X(旧ツイッター)をざっと検索しても、「エビス案件」の存在をまことしやかに噂する声だけ。そもそも話題にしている人自体少ない。
「エビス案件」はまだあまり知られてないですし、この時点で飯の種をベラベラ喋るメリットなんてありませんよね。
ただ「マグロ案件」や「クジラ案件」が呼ばれ始めた昨年後半以降、その釣り方を書いた情報がよく販売されていたじゃないですか。
まだ誰も売ってない「エビスの釣り方」を、今、このタイミングで売れば…爆売れ間違いなしだし、みなさんも大儲け!
そんなわけで、わたくし松尾、インターネット中を探し回って「エビス案件」についてまとめることにしました。
というわけで…今回調べて来た情報は以下の通りです!
(というわけで、以下から有料となります!)
2.調査
まず調べたのは、情報を持ってそうな人。
フォロワーの多いアカウントとか…ライターで活動している人ですね。
そこで発見したのは、あの有名ライター【編集済:2025/8/12/4:15】のとある記事です。あの色んなメディア【編集済:2025/8/12/4:15】で書いている人ですよ!
以下、しばらく引用します。
~~~~~~~
記事名:ウーバー現役配達員が語る最近の“案件”と怖い話
日付:2025/04/28 6:40
今はウーバーイーツ配達員にとって冬の時代だ。かつての巣籠もり需要も無くなり、配達一件当たりの単価も酷い時で300円ほどまでに落ちてしまった。他業界の人手不足もあり、筆者の知り合いだった同業者も多くが辞めてしまった。
(略)
そんな厳しい時代、ウーバー配達員に束の間の夢を見せてくれるのがマグロ案件であり、クジラ案件だ。これらの用語はその名の通り、「釣れたらデカい案件」を意味する。配達員が勝手に言い始めたものなので特に定義はないが、マグロは大体3, 000円、クジラは大体5, 000円だろうか。その時稼働中の配達員・受取場所・配送距離・配送時間等々……アプリの摩訶不思議なアルゴリズムが導き出す高額報酬を求め、この頃のウーバー配達員達は躍起になっている。スマホを眺めてマグロやクジラを待っていると、まるで日がな海を眺めて獲物を狙う漁師になったみたいで、なんとも変な感じだ。現実的な話をすると、はした金の普段の案件が避けられ、いつまでも配達員が付かなくなりかねない等、具体的な問題も孕んでいる。
ただ、もう少し夢のある話も最近聞いた。噂によれば、クジラ以上の高額案件があるという。しかもウーバーイーツだけでなく、出前館などフードデリバリー全体で高額報酬が得られるようになるそうなのだ。人呼んでエビス案件。魚を超えて神様だ。何でも一件で何万、十何万にもなるという。ウーバーのシステム的にクジラ案件が上限まで行っても9,000円なので、冷静に考えれば配達員の願望が生み出したオカルトとしか言えないが、大真面目に囁かれている。
筆者はそのエビス案件とやらにお目にかかったことは無い。が、実はわずかだが心当たりがある。大分前のことで、当時はただの「この業界の怖い話」だったのだが、今思うと何か関係があるかもしれない。ご紹介しよう。
これは筆者の知り合いのフードデリバリー配達員から聞いた話だ。仮にAさんとしよう。男性で、最初に会った時は30代入りたてだったか。高校ではバレー部で、細いが体力のある人だった。どこか地方から上京して、しばらくは大手チェーンの居酒屋で働いていたがコロナを機にこの世界へ。実によくある話である。
数年来の交流があったのだが、ある時飲みに行く話になって顔を合わせたら、バイクが新車になっているのに気付いた。尋ねると、Aさんはニヤリと笑い、ポロシャツの胸ポケットから何か取り出す。「最近、いいお守りをゲットしたんだ。いい案件ばっか来るんだ」と見せてくれたお守りは、しかし、ただの石ころに見えた。白くて丸くて滑らかな、石灰質の塊。ぐっと近付くと何か乾いた衣服のような独特の臭いがある。気になったので一杯飲んでから改めて聞くと、彼は快く話してくれた。私的な会だったので録音は無いが、メモを残してある。以下はそれを元に書き起こした内容だ。
それは最初、いつも通りの配達だったという。マクドナルドで大き目の袋を受け取り、そこからほど近いマンションに向かった。それほど大きくはないが、駐車場に高級車がウジャウジャ並んでいるのが印象深かったという。エントランスからオートロックを抜け、配達先は1階だった。
「ありがとうございます」とドアから現れたのは、70か80代の男性。ジャージ姿だが、髪は丁寧に撫でつけられ、歯は一本も欠けることなく綺麗に白く整っていた。多分相当な金持ちだな、とAさんの勘が告げる。靴箱の上には木彫りのエビス様が置いてあったりして、商売人、会社経営者か何かと想像したが、これはすぐ間違いとわかった。
さて、普通ならこれでマックの袋を渡して終わり、のはず。依頼人が「上の階の息子に届けてやって欲しい」と言い出したのだ。聞けば、依頼人はこのマンションのオーナーで、上にひきこもりの息子が住んでいて、オーナーが一人で面倒見ているのだそうだ。あまり仲が良くなく、間に立っていた妻が先立ってからは食事もこうして誰かに頼まねば受け取ってもらえないとのこと。そんな状況では依頼人も息子も辛いだろうと思いつつ、料金とは別に謝礼を出すからと言われれば、Aさんとしては断る理由も無い。
エレベーターから息子の部屋までの間、依頼人は気さくに喋りかけて来た。戦前に茨城から上京してきた一族で、運良くこの辺りの地主になり不動産経営で食べて来たという。他の息子や娘もいい大学に入りいい会社で働いているが、みな物件管理や一族の仕来りなど面倒くさがって、後継ぎになってくれないのが悩み事だと言う。全く雲の上のような話だと、Aさんは羨ましく聞き流した。
そして、最上階のその部屋の前に着く。依頼人は改めて、お願いの内容について話し始めた。曰く、息子は明るいのが苦手なので部屋を暗くしているから、よく注意して歩いて欲しい。散らかっているが、息子にとっては大事な物なので、蹴飛ばしたりしないよう気を付けて歩いて欲しい。息子もドアが開けばやってくるが、普段は廊下をまっすぐ行った突き当りの部屋にいるので、一応そこまで行ってやって欲しい。
Aさんがはいはいと頷くのを見届けると、依頼人は解錠しドアを開ける。むっと生ごみが饐えたような臭気。「確かに暗いな」と一目見てAさんは思った。玄関から廊下に窓やガラス戸など明り取りになるものが無い。ドアから差し込む陽光から、室内に何か白い塊が散らばっているのが見える。塊は表現し難い形状で、拳大から小指の先ほどまで色々だった。玄関に靴が一足も置かれてないのも奇妙に感じたが、とりあえず足を踏み入れた時だった。
「サブロウ様、ご膳でございますよ!」
と背後から依頼人が威勢よく声を上げる。ほぼ同時にドアが閉められ、ガチャッと鍵を閉じる音もした。振り向いて鍵に触れてみると、サムターン(鍵無しで開閉できるつまみ)の周囲に金属のカバーが付いていて指が入らないようになっている。
驚くAさんに「こうしないと息子は出てこないんだよ!」と依頼人がドア越しに言った。もちろんパニック状態だったが、逆にそういうものかとAさんは納得してしまう。行くしかないと、マックの紙袋をぎゅっと抱え、もう一度真っ暗な廊下の方を向いた。
Aさんの顔面をぴったりと何かが覆う。
大きくて、柔らかくて、冷たい。しかも、もぞもぞと動いている。ぴくぴくと脈動している。肌への力の掛かり方から端の方に向け複数に枝分かれしていることが推察され、それで正体が何となくわかった。
手だ。人の両手。
依頼人の息子? Aさんは室内のドアが開く音を聞いてない。玄関から奥の部屋まで5メートルはあったと思うが、足音も聞いてない。でも、パニックだったからわからなかった? そうかもしれない。袋を抱えたままAさんはただ狼狽える。
Aさんも誰も何も喋らない時間が続いた。
数十秒ほどして、手が段々移動し始めた。じりじりと顔の下の方に移動し、まさぐる指先が額から、眉、その下へと降りていく。指の一本一本が太く、すばしこく、Aさんはたくさんのネズミの鼻先にたかられる自分を連想した。その生き物みたいな指の先端が目蓋に触れると、一瞬ピクリと止まる。
この時、Aさんは目蓋を閉じていた。暗順応と言って、人間は暗闇に目を慣らすまで時間がいる。だから、Aさんは急に暗い所に入った時はいつも目をつぶる癖があった。その方が早く暗闇に慣れる、と子どもの頃に映画かドラマで覚えたらしい。(本当に正しいかはわからない。)混乱の中でもその癖は発揮され、ドアを閉じられた時から目を閉じたままだった。
ぐに。ぐに。指先が目蓋を上下左右、いじくり回す。止めてくれとも言えず、Aさんは一層目を強くつぶり、しばしの間やり過ごした。
終わりは唐突に来る。単に手が離れたのだ。手はそのままAさんの抱える紙袋をひょいと取り上げ、代わりにAさんの手に何か握らせる。それっきり。
手の気配が無くなり正気を取り戻したAさんは、すぐさま「渡しました!」と玄関のドアの方に怒鳴った。ややもして鍵が開き、依頼人が現れる。ようやく目を開けたAさんが最初に見たのは、依頼人の好々爺じみた笑みだった。
「あんた、ついてるなあ」
と言いつつ、話通り報酬を渡してくる。今のことを聞こうとしたが、機先を制して「それ、持っておくといいよ」と言われ、手の中のものに気を取られ、聞けずじまいになってしまった。
そして、その手の中のものが例のお守りだったという。
このお守りを手に入れてから、ウーバーだろうと何だろうと高額な案件ばかり引き当てるようになったそうだ。
どっとはらい、Aさんの不思議な話はこれで終わり。しかし、ここまで聞いて「エビスと何の関係もないじゃないか」と思っている人の為に、筆者なりの解釈を少し話させて欲しい。
まず、いきなり飛躍するが、「依頼人の息子」は存在しない。いや本当は息子だったのかもしれないが、この話における役割は人では無かった。暗室の中にいて、音もなく現れた、謎の手の正体は息子ではなく、神。つまり、エビス……のようなモノだったのだと思う。
筆者は今回の為に少々調べたのだが、エビスは実に多様で複雑な神だ。一般的にはふくやかで公家の服装の男性、釣り竿と鯛を抱えた姿で商売や漁業の神として有名だが、実は農業の神でもある。土地によって蛭子や事代主など他の神とも同一視されたり、足や目が不自由など不具の神としての側面もあったりする。はたまた浜に流れ着いた仏像や石、鯨や大きな魚なんかをエビスとして崇めるところもあったらしい。
そして、その実に多様な側面の一つに「自分が醜いから姿を見られたくない」という伝承もあった。人目に触れないようエビスの神棚を戸棚の中等暗所に設ける風習は全国各地にある。
つまり、Aさんが訪ねた暗室もそれだったとは考えられないか。エビスを収めた巨大な神棚だ。
根拠もある。依頼人がAさんを閉じ込めた時に呼んだ「サブロウ様」という名前。もちろん自分の息子に様を付けるのも変だが、そこではない。サブロウとはエビスの別名なのだ。三郎、これはエビスと同一視される蛭子に因む。蛭子は一般的にはイザナギとイザナミの第一子だが、『日本書紀』等には第三子の説も紹介されている為だ。
では次に、なぜAさんは暗室に入れられたのだろう。ここも飛躍する。まず、依頼人は「ご膳でございますよ!」と言っていた通り、エビスの神棚に食事を捧げる風習はポピュラーなものだ。
だから、今回の場合エビスへの捧げ物はAさんだったのではなかろうか。
依頼人の一族は自部屋の玄関にエビス像を置いていた通り、エビスを独自の形で崇めてきた。独自の形、正体は息子だか何だか知らないが暗室にエビス様を閉じ込め、生贄を捧げることで現代まで栄えてきた一族。
こう考えた理由は、あのお守りだ。
白くて石灰質で、どこか生臭いあのお守り。恐らく、あの部屋に散らばっていたという白い塊。それらの正体は、つまり、骨、なのではないか。エビスへ捧げられ、食われた生贄の末路。エビスに噛み砕かれ、髄を啜られ、舌の上で転がされ、河原の小石のように丸まったお守り。考えすぎかもしれないが、筆者はあの時嗅いだ臭いを思い出す度に連想してしまうのだ。
筆者の想像が正しい場合、生贄の調達先としてフードデリバリーの配達員は最適だったろう。
しかし、今回は失敗した。一族の崇めるエビスにはルールというか、生態がある。先述の通りエビスは「自分の姿を見られたくない」とされている。だから、この家の場合「自分の姿を見た不敬な者しか食べない」のではないだろうか。あるいは、目が見えない神として、自分の同類と誤解した可能性もある。
根拠としてはもちろん目を触って来たことと、逆説的になるが依頼人の言葉だ。部屋に入る前の「よく注意して歩いて欲しい」、「気を付けて歩いて欲しい」等の念押しは、ちゃんと目を開けたまま部屋に入ってもらう為だったのだろう。
つまりAさんは、室内にいる間ずっと目をつぶっていたことで難を逃れたのだ。依頼人の「ついてるなあ」とはその意味であろう。そして、その引き換えにお守りとして石を授けられ、幸福を得た。筆者の解釈は以上。
そんなわけで、巷で言われているエビス案件とは、もしかするとAさんのこのホラ話が独り歩きした結果なんじゃなかろうか、と思うのだ。何しろ運に左右される仕事だ、同業の中にはそういうジンクスみたいなものを大事にする者も多い。
ところで、もしこの話が本当だとした時。
Aさんは本当についていたのだろうか。
つまり、こういうことだ。
生贄が定期的に必要な以上、お守りにも期限があるんじゃなかろうか。
Aさんが依頼人から最後に言われた言葉はこうだ。
「それ、また欲しくなったらおいでよ」
エビスは欲深な神としても知られている。
あの暗室にいたエビスが食べない人間に石を渡すのは、今度来た時に食べる為じゃないだろうか。
Aさんはあの暗室のルールに気付いていただろうか。
Aさんとはその飲みの席を最後に連絡が取れていない。
(略)
3.考察
引用は以上です!
なんかただの怪談でしたね笑
こんなのどう見ても嘘だし。
エビス案件が欲しけりゃ、エビスに食われろって、そんなばかな笑笑
ただまあエビス案件についてはこれぐらい変な話ばっかです。有名なライターでもこんなもんだからビジネスチャンスってことですよね!?
この調子でビシビシ調べて皆さんにシェアしていきたいですけど、これじゃただの怪談集になっちゃうかも笑
【追記:2025/09/22】
そのようなわけで、この記事はホラーコンテンツとして再編されます。近年流行中のモキュメンタリースタイルの一篇として公開すれば、一定のPVが得られるものと予想されたからです。しかし、どうぞ読者の皆様に置かれましてはご安心ください。本作を読んでも、流行の作品のように呪われたり死んだりすることは一切ございません。どうか最後までご覧ください。【編集済:2025/09/22/1:22】
まあ今回はこんな感じのクズ情報しか出せませんでしたけど笑
ご容赦を (人д`o)
それでは!
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