第15話 どうやら俺は狙われている
ずっと、サラス帝国と、カララム王国と、イーグル辺境伯の動向を監視していたサヤの報告によると、こうだ。
サラス帝国側は、実は、ずっと俺達親子を監視してたらしい。
まあ、俺が瞬間移動スキルを持ってた親父の子で無かったら、何も問題無かったのだが、スキルは遺伝するものだと、この世界では常識なのである。
俺の父親が暗殺されたのも、レアスキルの瞬間移動スキルを持ってたからであって、サラス帝国側の偉い人からすると、一度行った事がある場所に一瞬で瞬間移動で現れる父親が恐ろしくて、サラス帝国側は、ずっと暗殺するチャンスを狙ってたという話だ。
そして、どうやら母さんの実家のトロンボーン公爵家は、俺の父親の暗殺に全く関与してなく、また、母さんが父さんに攫われた事実も把握してなくて、戦争のどさくさで母さんが行方不明になったとしか思ってなくて、今でも母さんを探してるという話だった。
それに関しては、とても良い話で、俺も母さんも、身内であるトロンボーン公爵家を恨む必要が無くなって本当に良かったと思う。
けれども、サラス帝国は、きっちりトロンボーン公爵家の娘が父さんに攫われてた事実を握っていて、それをトロンボーン公爵家に伝えてないのは悪意を感じる。
それはサラス帝国側が、トロンボーン公爵の人となりを熟知していて、娘の旦那を、しかもテッタという息子まで生まれていれば、絶対に、俺の父さんを暗殺する事を反対すると思っていたからである。
そして、今の状況なのだが、俺がどのように育つのかサラス帝国は、ずっと監視していたのだが、よりによって、元S級冒険者パーティー『熊の鉄槌』に所属してたエリスが、俺の家に居候を始めてしまったので、相当焦ってたと思われる。
俺の母さんは、一応、サラス帝国出身の貴族なので、俺を連れてサラス帝国に戻ってくる可能性もあり、サラス帝国としても、味方ならば俺が得るであろう瞬間移動スキルは魅力であったみたい。
だけれども、俺がカララム王国か、サラス帝国にどっちに転ぶのか解らなかったので、ずっと監視に見張らせていたのだ。
しかし問題が起こった。
エリスが俺の家で居候を始めたのだ。
そして何が問題だったかと言うと、エリスが所属してた『熊の鉄槌』が、問題だったのである。
何故なら、エリスが所属していた『熊の鉄槌』は、カララム王国と、サラス帝国との戦争で活躍し、大戦の英雄と言われているエドソン・グラスホッパーが所属していた冒険者パーティーだったから。
それにより、俺が、カララム王国側に付くと勝手に勘違いしたサラス帝国が、未来の敵の芽を詰む為に、俺の元に暗殺者を大量に送り込んで来てるのが、今の状況なのである。
「サラス帝国の要人達は、マスターが得る予定の瞬間移動スキルが、余っ程怖いんですよ!」
サヤが、妖精の体を得て、余っ程嬉しいのかクルクル飛び回りながら、俺に話してくる。
今、ちょっと重い話をしてる筈なのに、全く緊張感がない。
「俺が瞬間移動スキルを得るのは、決定なのか?」
「ですね!その為に、わざわざ、マスターのお父さんとお母さんを結婚させたんですから!」
サヤは、エッヘンと胸を張る。
「まあ、確かに瞬間移動スキルは魅力的だよな」
「そして、エリスちゃんをマスターの元に行かせたのも、理由があるんですよ!」
「ばあちゃんだからだろ?」
「違いますよ!エリスちゃんの千里眼を、覚えさせようと思ったんですよ!
瞬間移動スキルって、知ってる場所に瞬間移動出来るスキルなんですが、見えてる場所なら知ってる場所なので、瞬間移動できちゃうんですよ!」
「なるほど、確かに、瞬間移動スキルと、千里眼を持ってれば最強だな!
俺の今の状況で、100キロ先までは普通に見えるから、そこまでは行った場所じゃなくても、普通に瞬間移動出来るようになるって事だな!」
「ですです!瞬間移動スキルを得たなら、スグにでもお父さんを殺したサラス帝国に復讐できちゃいますよ!
10回くらい経由すれば、サラス帝国の皇帝が居る場所までいけちゃいますし!
今は、弓矢まで覚えちゃってますから、100キロ先の安全な場所から、弓矢で皇帝を暗殺出来ちゃいます!」
「すげえな……俺……」
「ですです。それでサラス帝国は、マスターが瞬間移動スキルを得る前に、躍起になってマスターを暗殺しようと思ってるんですよ!」
「確かに、俺がサラス帝国の皇帝だとしても、同じ事するわ!
だって、既に、俺の父さんを暗殺した時点で、俺がサラス帝国に恨み持ってると思うもん!」
「で、サラス帝国の皇帝、殺しておきますか?それとも、サラス帝国を滅亡させちゃいます?
私の本体の宇宙船から、対惑星用レーザー砲をぶっぱなせば、一瞬で滅亡させれちゃいますから!」
なんか知らんが、サヤが俺の役に立とうと、なにやら張り切ってるし。
「アホか!サラス帝国は、『恋愛イチャイチャキングダム』では、重要な役回りがある国なんだよ! そんな見た事もない、俺の父親の為に滅亡させられるかよ!」
「ですよね!」
サヤは、解ってる癖に、俺に確認を取ったようである。
そう。今の俺は、その気になれば、瞬間移動スキルを得ていなくても最強なのだ。
だって、グレイ時代の記憶を得た俺は、901惑星の上で惑星観察してる、辺境惑星観察宇宙船轟38号改め、サヤを自由に使えるのだから。
サヤは、察知スキル真っ青の、GPS機能を使って、俺を狙う暗殺者全てを把握してると思うし。
これも、第901惑星に住まう全ての知的生物に、ナノマシンを埋め込んで、この惑星にマイナンバー制度を持ち込んでるから出来る技なのである。
ナノマシンは、親から子へ勝手に受け継がれるので、絶対に漏れなどないしね!
これも、第901惑星に知的生物があまり存在してなかった頃から、俺らが活動してたから出来た事であって、普通は出来ない事だからね!
そう俺は、この901惑星の惑星調査員であり、辺境惑星観察宇宙船サヤのマスターであった時点で、この惑星の命運を握る、所謂、神でもあるのだ。
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