閉じる
表示設定
目次
資料 インタビューテープの文字起こし 1
D氏（24歳、男性、会社員）： 最初に異変に気づいたのは、先週の水曜日、仕事の昼休憩中でした。同僚とランチの写真を撮って、フォルダを見返していた時、明らかに自分が撮った覚えのない女性のポートレートが紛れ込んでいたんです。
その女性は、肩までの黒髪で、少し伏し目がちで、どこか憂いを帯びた表情をしていました。服装は地味な印象の、グレーのカーディガンを着ていたと思います。背景は薄暗い室内のようで、詳しい場所までは分かりませんでした。
「誰だろう？」と思った瞬間、まるで誰かに囁かれたかのように、ふと「ああ、サワグチアカリだ」という言葉が頭の中に浮かんできたんです。信じられないことに、その名前を知っていたような、昔どこかで会ったことがあるような、奇妙な感覚に襲われました。
でも、冷静になって考えると、そんな名前の女性、全く心当たりがないんです。顔も初めて見るはずなのに、なぜかその名前と顔がセットで、まるで自分の記憶の一部であるかのように感じてしまう。本当に気持ちが悪くて、すぐにその写真を削除しました。
しかし、それから二日後の金曜日、また別の「サワグチアカリ」の写真が現れたんです。今度は、少し遠くから全身が写っていて、白いワンピースを着て、花畑のような場所に立っていました。顔は少しぼやけていましたが、やはり見た瞬間に「サワグチアカリだ」と認識してしまいました。
一体何が起こっているのか、全く理解できません。誰かの悪質なイタズラなのかとも思いましたが、周りの友人にも同じようなことが起きていると聞いて、ただ事ではないと感じています。夜、一人でいると、その女性の顔が頭に浮かんできて、眠れなくなることもあります。
ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。（ログインが必要です）
応援したユーザーはいません
応援する
アカウントをお持ちの方はログイン
カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
カクヨムに登録すると作者に思いを届けられます。ぜひ応援してください。
新規ユーザー登録（無料）
カクヨムに登録して、気になる小説の更新を逃さずチェック！
カクヨムに登録して、お気に入り作者の活動を追いかけよう！
応援すると応援コメントも書けます