番外 精神の死といっしょ
朝、目が覚める。そうすると、仕事に行っていなくなった死神と入れ替わるように、暇を持て余した彼がすでにいる。
『おはよークソガキ!よく眠れたかよ、まあ眠れなかったとか言ったらはっ倒すけどね』
『…睡魔さんの顔見てると眠ったまま目が覚めなかったらって考えることがあるんですよ、これは若干アンニュイになってるんですけど』
『えっボクこんなにかわいいのに起き抜けにこの顔見たくないとか喧嘩売られてる?まーいいや、それは別にいい。』
ふー、と息を吐きながらヒュプノスが真剣な眼差しで語り始める。
『眠ったまま死ぬのは正直割とあるんだよ。別になんの兆候もない、数ヶ月前に頭を打ってる、なにかの拍子で顔を毛布が覆っちゃった赤ん坊…まあ色々ケースはあるけど、死と眠りって兄弟だからボクもお兄ちゃんと似たようなもんさ。なに、覚めたくな〜いってやつ?』
『その言い方すごく小学生男子の誇張されたモノマネみたいでムカつきますけど、そうですね。覚めずに意識がそのまま消え去ったら、痛みもなくパチンといけそうでいいなって思って』
『そうすると意識と精神の繋がりが断たれるわけだろ。身体の中に魂が閉じ込められて何も意思表示ができないままのお前を好き勝手するわけだけどね、ボクたちは。やれ安らかにとか言われて祈られたり化け物に食われたり全然知らないところに連れて行かれたり。その間も意識は魂に留まり続ける。下手に死ぬより面倒だと思うぜ』
『………永遠に意識が残り続けるんですか、それはちょっと。そうなったら死神さんに切り離してもらうしかないですねぇ』
『楽な近道なんてないのさ、精々足掻けよ。お前やっと面白みのあるガキになってきたんだからさ、お前がくたばったら退屈しちゃ〜う♡』
『熱烈なラブコールありがとうございます。語尾に♡付けるのはほんとグロいですけど』
『ははは、言ったな?お前が寝言でお兄ちゃんの名前呼びながらこっちに頭預けてきたの本人に言いふらしてもいいんだけど』
『………………睡魔さんの配信中に彼女を装った電話とかかけて炎上させてもいいんですよ』
『はいバカ〜!ゲーム配信中の電話着信なんてとっくに切ってますぅ、お前程度のやることなんてわかりきってるっつの、ははは!!!いや返り討ちにしてやっても面白いか、いいよやってきても♡』
『(また、憂鬱が吹き飛びそうないつもの会話)』
『(しょうもなくて、とりとめもなくて、いつもどおりの代わり映えしない会話に、わたしは)』
『……こんな性格最悪のヒトと親が似てるなんて思いたくないんですけど』
『あ?聖人じゃないとお前みたいなの相手できないけどね、ガキがよ』
『成人ですらなさそうな言動してるのに聖人名乗るのやめてもらっていいですかね、はぁ』
『(確かに救われてるんだ)』
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地の文があまりない文章なので番外に置きました。あと、話数的にはこのやりとりはもう少し後なのですが、ちょっとどうしても見せたくて載せてしまいました。ガキがよ。
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