発芽様企画【あなたが書き続けてるのは、なぜですか?】

小さな頃から、「思ったことをそのまま表現する」のが好きな子でした。

保育園では先生の判断に口を挟み、小学2年生では初恋の男の子に告白して玉砕。

感情が動いたら、それを絵に描いたり、詩にしたり、歌にしたり。何かに変換して外に出すことが、生活の一部でした。


小中学生の頃は漫画を描いていました。ノートにページを割って、コマを描いて、セリフを入れて、全力で妄想を形にしていたあの頃。机に向かう3時間のうち半分は漫画を書いていました。

高校生になると楽器演奏に夢中になり、ディベートにものめり込んでいきました。ジャンルは変われど、常に「伝えること」に心が動いていた気がします。


ーー


大人になってからは仕事中心の毎日。でも、自分で事業を立ち上げてからは、講座を作って伝え、ブログを書き、メルマガを書き、本を書き、動画を撮り、とにかく「伝える」ことが日常に。


そんな中、2ヶ月前に突然、まったく仕事と関係のない妄想が止まらなくなりました。

本業に関係ないし、誰の役に立つかもわからないけれど、どうしても書かずにはいられなかった。気づけば、小説の執筆が始まっていました。


以前よりも本を読み、書く経験も重ねてきたからかもしれません。今の自分の思いをいちばん自由に、いちばん豊かに表現できるのが、「小説」という形だと感じたのです。


ーー


「書いてて楽しい?」と聞かれたら、正直、書いている最中はあまり楽しくないんです。

脳内のイメージを、必死で書き留めているだけ。妄想を記録する作業です。


でも、楽しい瞬間はたくさんあります。

構想中の妄想タイムや、書いた後に読み返す時間。

歴史小説を書いている今は、史実という点と点を、妄想でつないでいく作業がとても面白い。

キャラの性格は、自分の専門である性格タイプ論に基づいて作っていて、彼らが脳内で勝手に動く瞬間が本当に愛おしいです。


朝目覚めたとき、「ああ、だからあのキャラはあのとき、ああいうことを言ったのか!」と腑に落ちたとき。

史実と性格と台詞がピタリとつながるその瞬間は、まるで一つの世界を創造しているような快感があります。


ーー


「世界中の誰にも読まれなくても、私は書きます」

なぜなら、私自身が、私の小説の一番の読者だから。

私が熱烈に読んでいるので、良いのです。


ただ実際は何人か読んでくださっていて、その方達には”同志よ!!!”という感じで趣味の合う仲間に出会えた感覚で最高の気分です。


ーー


小説を書くようになって、惰性で買っていた漫画の購入がグッと減りました。

他人に理不尽な感情をぶつけることもありません。

小説は、私にとって、燻る思いや感情を昇華させる手段であり、自分を取り戻す安全な逃げ場です。


一人で始めて、一人で完結して、それでもどこかに誰かとつながっていける。

私はこれからも、きっと書き続けると思います。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る