第7話 ゲンとアンドロイド

アンドロイド回収所で、ゲンは「人型」のゲートの中に運ばれた。

「要警戒アンドロイド〈思想的な偏り〉」の赤いテープを口元に貼られ、手錠と鎖の繋がった首輪をつけられた。

やがて作業員が型番を確認するために服を脱がせ、左の脚の付け根を確認した。

「何も書いてないじゃないか」

作業員は驚いてバインダーを取り落としたが、監査室に行くとすぐに落ち着いて戻ってきた。

「なるほどな。そういうことか」

作業員は呟きながらバインダーに挟んだ紙に書き留める。


"品番不明"


「あんたも気の毒だな。開発した奴らはもう8年も前に爆発事故でおっちんじまってるよ。

正しい分解方法がわかんねーたぁ、リサイクルの時代もお手上げだよ」


ぶつぶつ言いながら、作業員は裸のゲンをあちこち検査して検査欄に書き込んでいく。

「しっかしよくできてるなぁ。あそこの研究所員が今頃生きてりゃ、品番非明記で捕まってら!」

最後にけらけらと笑って、ゲンは「完全模倣型」のベルトコンベアにのせられた。



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