理想の星をつくろう

「サクラ。

もし、あなたが “星” をひとつつくるとしたら、どんな星にしたいですか?」


「えっ!? 星をつくる? 」


「そうです。

でもこれは “想像” の中の話。

あなたの心の中に自由に描くことができる理想の世界です。」


「うーん……。

じゃあ、争いのない星。

誰もが安心して暮らせて、おいしいものがあって……。

それに、森とか海とか自然がたくさんあるところがいいな。」


「素敵なイメージですね。

その星では、人と人はどのようにつながっていると思いますか?」


「うーん……助け合ってると思う。

困っている人がいたら、自然に手を差し伸べるような感じ。

だって、誰かが笑ってると自分もうれしくなるから。」


「それは、あなたが “循環” を感じ始めている証拠です。

ひとりの幸せが他の誰かに届き、また自分に返ってくる。

それが “光の循環” です。」


私はふと思った。

今の地球だって、そうなれたらいいのに。

でも現実は、食べ物が足りなかったり、争いがあったり、自然がこわされたりしてる。


「現実の地球と私がつくりたい星は、なんでこんなにちがうんだろう……」


「それは、人間の社会がエネルギー循環のバランスを崩してしまっているからです。

“所有” にこだわりすぎると流れが止まり、 “循環” が滞ります。」


「たとえば……?」


「水が止まってたまると、にごってしまいますよね。

たくさんの物や力を “持ちすぎる” と不安が生まれ、守ろうとして争いになることがあります。

でも “分かち合い” が当たり前の世界なら、持ちすぎる必要はなくなります。」


「みんなが必要な分だけで満足して分け合えば、争いもなくなるってこと?」


「まさにそれです。

理想の星とは、ただ “新しくつくる” ものではなく、私たちの心の在り方を映し出した鏡でもあるのです。」


「じゃあ……星をつくるっていうのは、心の中に未来を描くことでもあるんだね。」


「そのとおり。

そして、あなたが描いたその星は、まだ見ぬ “未来の地球” かもしれません。」


私は目を閉じて思い描いた。

澄んだ空。

果てしない森。

あふれる笑い声。

人々が、おだやかに暮らす平和な星。


「そんな未来、本当に来ると思う?」


「それは、あなた次第です。

そして、あなたとつながる誰か次第です。

想像は現実を動かす最初の光。

小さなイメージが、やがて星全体を変える力になります。」


私は小さくうなずいた。

理想の星を自分の中につくることは、世界を変える “はじめの一歩” なのかもしれない。

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