慟哭

 あなたの笑顔はとても綺麗で、とても眩しかった。あなたの傍にいるときだけは、こんな私でも、日向にいてもいいのだと許されるような気がした。


 だから、そんな眩いあなたを私の手中に収めておきたいと、分不相応にも願ってしまった。苦しいほどに、あなたに焦がれてしまったのだ。


 あの日、出会う順番さえ違っていたなら。あなたは私だけを見て、微笑んでくれたのだろうか。


 あなたの笑顔を当然のことと享受しているアイツのことが憎かった。


 私からあなたを奪ったアイツが。


 この世界から光を失わせたアイツが。


 あなたとよく似た顔で笑うアイツが。


 

 全てが、心の底から憎かった。



 

 だから。



 

 ――アイツらの何もかもを、全て壊してやろうと思ったのだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る