第7話 光の王は呼び出される
ピンポンパンポーン。
休み明け、前から数えると久しぶりの小学校に行って昼休みぐらいにこの音を聞いた。
「誰か呼び出し?」
「まっ、オレたち関係ないだろ〜入ったばっかなんだしよ!」
「だよねえ」
休み時間で一緒に話をしてた紺とそう言っていた。
この関係ないだろうという言葉を撤回するのは思ったよりも早かった。
「一年生の水鳥紺と空渡黒斗。今すぐ応接室に来な」
放送されたのがそれだったからである。
呼ばれたのが俺と紺の二人だった。
「ねえ紺、今俺すっごく驚くことが起きそうな予感がするんだけど......」
「オレもだ......とりあえず応接室探そうぜ」
「うん、そうしよう」
俺たちは廊下に出て応接室を探すことにした。
先程の声に聞き覚えしかない。
ある人が思い浮かんでいるのだ。
「クロ、ここみたいだぜ」
紺が立ち止まって応接室と書かれた札を指差す。
「じゃあ、入ろうか」
俺はドアノブをゆっくりと開けた。
部屋に入ったその瞬間、視界に入ったものから俺は勢いよく避けた。
「その反応の早さ......やっぱりチワワだね」
「その呼び方と杖......
「半分正解。とりあえず座れば?」
部屋の中にあるソファに座るようにその人は言った。
確かに座った方が話しやすいかもしれないと思い、俺と紺は座る。
「そんで、半分正解ってなんだ?」
紺が目の前に座っている人に聞く。
「今の僕は
「前ってことは......やっぱり俺たちと同じってことですね」
「というかこれって君が関係してるんじゃないの?」
「いやいや俺は関係ないですって」
「だったらその見覚えのあるブレスレットはなに?それと、同じってことは君たちもかつての自分の兄になってるってこと?」
前、と言ったことから俺たちと同じで記憶があるのだと察することはできた。
だが、そこまで一緒だとは思わなかった。
「紫雲さんも兄になったんですね。あっ、俺の今は白の兄の黒斗です」
「クロ、放送して呼び出したんだから知ってると思うぜ?まあオレも一応名乗ろっと!オレは蒼の兄の紺!今世もよろしくな〜」
「今世も、ね。またファミリー作るの?あと僕のことは薫でいい」
紫雲さ......薫さんがそう言って俺を見る。
またファミリーを作るのか、と。
「作るか作らないか、じゃないんです。すでに決まっていたから。きっと薫さんの元にもくるんじゃないですかね」
「決まってる?相変わらずよく分からないこと言うよね。まあ、でもいいよ。君たちにも記憶があるなら退屈しなさそうだ」
薫さんが微笑む。
笑っているところを見たのは数回で、人といることを好いていなかった人。
「あなたも笑うんですね......」
「なにそれ。君たちといるのは退屈しなかったし、苦じゃなかったから笑ってたと思うけど?」
「確かに笑ってたな〜分かりづらかったけど!」
「えー俺なかなか気づかなかったなぁ」
「別に気づけなくてもいいでしょ」
「ファミリーのことに関しては知っていたいんですよ」
大切な仲間のことについては知っていたい。何か悩んでいることがないかとか、観察は欠かさなかった。
「さっすがボス!」
「なんかその言い方されると俺の右腕思い出すね」
「あの忠犬まだいないんだ?どうせすぐ来るだろうけど」
「まだいないですね。でも、そのうち来そうな予感はします」
すぐ来そうだという予感。その予感が外れることはないだろう。
「あいつがクロから離れて平気なわけないもんな〜」
「平気だと思うけど......」
「「それはない」」
紺と薫さんが口を揃えて言った。
そこからは、俺の右腕だった者がいかに俺に執着していたかを聞かされることになるのだった——
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