飢餓ダンジョン

就労Bのマサ

第1話 腹が減ったらダンジョンへ

 ダンジョン。それは、皆、宝の山。魔物の巣窟と思い浮かべるだろ。しかし、今の世…ダンジョンは、食うための存在である。


 2100年、世界的な食料不足によって起きた核戦争で人類の単半は、死に絶え、人々は、終末戦争と呼んで人類の愚かさを歴史に刻んだ。しかし、人類は、そんなことよりも腹が減って愚かさよりも生きることに注力していた。なぜなら、戦争から10年が経った今でも核の噴煙と汚染で農作物は育たない。人々は、残された保存食で食い繋いでいたが枯渇は目前だ。人類が唯一、生き延びる手段は、古代文明が残したダンジョンに生息する生き物や植物を食うことだ。しかし、ダンジョンには、強力なモンスターの軍団、特に侵入者を殺戮するダンジョンガードたちが、人類に牙を向く。

 だが、このダンジョンに挑むハンターたちが、いる。

その名は、daredevil!デアデビルつまり、無法者、命知らず、無謀な者と呼ばれている。

 この作品は、そんな、ダンジョンで食うためにデアデビルとして生きている1人の男を描いた作品である。


 荒廃した都市の中心街。街は、昼なのに暗闇に包まれていて人々は、太陽の光を頼りにせず、皆、臭いがきつい油を使ったランタンの光を頼りにしている。その、光が絶えず、いつも盛況な店がある。

 店の名前は、「はらいっぱい!」 

 飯屋なのか?いや、普通の?小売りの店のような、陳列だが。


「いらっしゃいませ!小麦の袋は、銀貨5枚ですよ。紙幣でお支払なら500ドルですよ。」

 

 美人の店員が、元気よく接客をしている。


「円と元、ユーロは、使えないのか?」


 大男が、古い紙幣の束を持って仁王立ちで店員をとおせんぼしている。


「申し訳ありません。当店では、金貨、銀貨、銅貨、金、ドル以外のお支払はいたしていません。」

 

 大男は、目を睨ませて


「ああ!俺は、客だぞ。だいたい、ここは、ギルドに入ってねえだろ。そんな店が威張るんじゃねえ!」


 そういうと小麦の袋が置いてあるテーブルをひっくり返した。店員は、またかという顔で見ていて客は、バカなやつだという目で見ていた。


「なんだ!店ごとぶち壊してお前を地下街に売り付けるぞ!」


 もはや、客ではなく、たんなる強盗か人攫いである。しかし、ビール瓶を持った男がのっしのっしと男の後ろに歩み寄ってきた。


「よお、でかいの。俺の店を壊すのは、許してやるが、俺の女を奪うのはやめとくんだな。」


 なにか、初老のおっさんに酒臭い口で男に警告した。


「は?ジジイは引っ込んでろ!」


 大男は、酒臭い男の顔にストレートをおみまいした!そのストレートは、顔に直撃して酒臭い男は、カウンターにぶっ飛んだ!


「バカなやつだ!その酒は、冥土の土産にしろ。」


 そういって店員を連れ去ろうとすると


「正当防衛成立だな。お前はもう、サツに捕まるか、俺に殺されるしかない。」


 酒臭い男は、血一滴も流さず、酒まみれな状態で大男の前に出た!


「あん?お前、死にてえのか?」


 余裕で笑う大男。しかし、


「お前はもう、救えないバカだ。」


 一言呟いた酒臭くて酒まみれの男、そして、指を一本、大男に向けた。


「はあ、なんだ、その指は?おまじないか?」


 そういった瞬間、誰も確認できないくらいの早さで両腕の両腕を指でついた!


「はん、なんだ。その指は、聞いてんだ…ガハァ!」


 大男の腕は、腕を伸ばしたようにピンと一直線になってまるで潜水しているような状態になった。


「なんだこれ!腕が伸びて曲がらねえ。」


 痛みとおかしくなった腕に泣きわめく大男。


「お前の腕の伸縮筋肉のツボを押した。もう、お前は、その状態で生きていけ。」


 大男は、泣き叫びながらある噂を思い出した。都市に住む相手のツボを押して無力化する気功の達人がいるということを。


「あなた様はもしかしてマスター ジョーイ!」


 大男は、跪いて尋ねた。


「ほう、お前のような無知も俺の名くらいは知っていたのか、だが、もう遅い。お前は、獄中でその状態で惨めに死んでいけ。」


 酒臭い、いやマスター ジョーイは、冷酷に吐き捨てた。しかし、横で見ていた店員は、


「あんた、もう、許してやりなよ。この坊やも懲りてるから。」


「それはねえよ。マイハニー モニー!」


 まさかの店員は、奥さんだった。まあ、女と言ってる時点で分かるのだが。みんなが、呆然と見ていると


「ジョーイ様、俺は、ジャイアントホワイト。しがねえ賞金稼ぎだが、それなりの怪力で強いやつを倒してきた。だが、あんたのように拳法なんて使えねえ。どうか、弟子にしてくれ!」


 いきなり、負けて弟子にしろ。お決まりだが、ジョーイは、


「店をぶっ壊して愛するハニーを売り飛ばそうとしたやつを弟子にするバカはいねえよ。」


 当たり前の回答だ。というか、強盗を弟子にするやつなんてどんな酔狂なやつだ。しかし、奥さんのモニーは、


「バカだね、この人、力持ちなら店の仕事手伝ってもらいながら気功拳の修行させてあげれば。あんたも私の祖父からそうやって教わったんだから。」


「あ…うぐ!」


 この男、昔は、チンピラで同じように悪さをしてフラフラしていたのを拾われた身の上なのだ。その詳しい話は、おいおいする。


「け、しかたねえな。ズシ!」


 ジョーイは、大男の腕の気功をついて自由にしてやった。


「ありがとうございます。師匠!」


 ホワイトは、土下座してジョーイに感謝した。


「まだ、弟子にするって決めたわけじゃね…」


 そういうおうとしたとき…

 なにやら、また、トラブルのようだ!


「あーーー!予約していた100人分の食料まだ、準備できてない!」


 モリーは、大声で伝票を見て驚いていた。


「なんだよ。100人前なんて倉庫にあるだろ。」


 どうやら、この店には、たくさんの食べ物があるみたいだ。


「あれは、今週、売る分よ。あんた!早く、とってきてよ!」


 ジョーイは、伝票を見て 

 「はぁと!」

 ためいきした。


「け!あのジジイどもの飯だろ。安い仕事はやんねえよ。」


 どうやら、この仕事は薄利のようだ。


「なにいってんのよ。あんたが、修行嫌で家出したときに匿ってくれて師匠に許してもらうために仲立ちしてもらったでしょ。」


 ジョーイは、忍びない顔をしている。昔、師匠にしごかれて逃げたときに泊めてもらって飯も食わせてもらった。その恩は、忘れてないようだ。


「うるせえな。ホワイト!初仕事だ。裏の倉庫から荷車持ってこい!」


「はい、師匠!」


 ホワイトは、すぐに、倉庫に行ったが、ホワイトは、すぐに戻ってきた。


「師匠!あれは、なんですか!」


 ホワイトは、ひどく、怯えていた。


「なんだ!化け物でも見たか!」


「でけえ、トカゲの化け物がいますぜ!」


「バカやろう!あれは、ペットだ!さっさと連れてこい。仕事だと言えば来る!」


 ホワイトは、この店は化け物しかいねえのかと思いながら倉庫に戻った。


 






 

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飢餓ダンジョン 就労Bのマサ @yokoyama2002

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