第11話 白装束の女達

 何もかも意味が分からない。


 俺を出迎える摩天楼は、ここは本当に地球か?と、不安にさせた。

 

 未知とは 不安を煽ってくる。

  わからないがゆえに、それは恐怖となりうるのだ。


 なぜ、すべて白いんだ?

 なぜ、黒じゃないんだ?

 なぜ、硝子がないんだ?


 俺の頭に浮かんだ、純粋な疑問達。


 ビルというものは、普通、建材が周りの景色に馴染むように、黒色や灰色であることが多いが、ここでは、ビルが白い。


 質問しようか。と、思ったが、一番大きなビルをめがけて、俺は、スサという男と歩いている。


 どうにもこうにも、周りの住人たちの格好が理解できなかった。


 シャンプーハットみたいなもんをかぶっては、二の腕には、白いアミアミの布。スタイルが強調された、白い装束。


 肩や、脇は、露出されていて、下半身に関しても、股関節や、頸部の辺りは、白い布で覆われているが、太腿は、露出している。


 足元が、スニーカーや、ヒールでなく、サンダルなのも気になった。


 確かに、気温は夏くらいだが、その装いは、いかがわしくはないのか?


 そんなことは、気にもとめず、スサは、どんどん歩いていく。


 人々の目元には、双眼鏡のような箱を取り付けている者もいれば、1つの瞳が描かれた包帯を取り付けている人もいた。


 口も覆われていて、顔がはっきりと見えない。


 僅かに見える肌は、ちらほらと日本人特有の色を覗かせていた。


「どうなってんだ?」


 当然なのかもしれないが、俺は、憐れみの目か、驚嘆の目で、見られているような気がした。


 その格好をした人々は、体型からして、女性だからだ。


 女性と理解するのに幾ばくかの時間がかかってしまった。


 なぜなら、驚くほど、背が高いのだ。


 見下されているような感覚を覚えたことかも、彼女達は、170cmの俺より大きいだろう。


 周りに男性らしき姿はない、となると、ここは、男性が珍しい平行世界か?


 

「スサさんでしたっけ?」


「スサで構いませんよ」


 もし、平行世界ならば、俺が死んだ世界とは、一線を画す。


 女性が多い。格好が極めて、珍しい。


 となると、スサも女なのでは?


 俺は、訊いてみることにした。


「スサの性別は?」


「あなたと同じですよ」


……そうなのか。


 男性だったということで、安心した。


 ひょっとすると、この世界では、男性と女性の立場が逆転しているのではないか?


 古来から植え付けられた男性の狩猟能力は、背が高ければ高いほど、有利だ。


 もしかして、あべこべなのか?


 いや、それにしても……


「着きましたよ」

 

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