坂町中陸上競技部 滝川凌!〜犬並嗅覚トップランナー、理性ただいま爆睡中〜

ゆずりは ひあき

第0章 プロローグ

第0話 登場人物紹介

ようこそ、坂町中学へ。

においで走り、羞恥で転び、哲学で立ち上がる。そんな思春期たちの物語――

はじめに、少々クセ強めな登場人物をご紹介します。


基本はコメディ、ときどき哲学。

深呼吸しながら、どうぞお付き合いください。


《主要キャラクター》

■ 滝川 凌(たきがわ・りょう)

坂町中学校 陸上部男子

通称「におい王」。

異常に発達した嗅覚を持ち、ジャージ、吹奏楽部の唾液受け皿、小手の中まで持ち主を嗅ぎ分ける思春期男子。

羞恥と本能に突き動かされて走り出し、理性はいつもウォームアップ中。

“匂い”に込められた命の鼓動を、誰よりも繊細に感じ取ってしまう。


■ 佐々木 早矢(ささき・はや)

坂町中学校 陸上部女子エース

鍛え抜かれた鋼鉄腹筋を持つ“鋼鉄乙女”。

言葉少なめ、弁当は黒こげ、走ることに命を燃やすタイプ。

実は凌の嗅覚をいち早く理解し、黙って寄り添う優しさを持つ。

「命を削って走る」のではなく、「よりよく生きるために走る」信念の持ち主。


■ 三ツ石 真帆(みついし・まほ)

坂町中学校 吹奏楽部部長(トランペット)

成績優秀・英語堪能・理詰め思考の才女だが、妄想力と羞恥感が超絶豊か。

夜22時からのラジオ気象通報(特に「渤海」「父島」「チチハル」など)に赤面し、堺正幸の声で再生されるのが定番。

「等圧線は枝分かれしない」が座右の銘。真面目すぎて、たまに壊れる。


■ 東雲 澪(しののめ・れお)

剣道部所属。夏の稽古での異臭騒ぎを起こす“においの鬼神”。

玲央とは双子で見分けがつかないが、凌の嗅覚と「垂れネーム」でかろうじて判別可能。

特注のカーボン製竹刀を操り、鉄の臭気とともに戦う。

早矢と一・二を争う鋼鉄乙女であり、バール1本で建築土木・重工業の現場に立ち向かう。

哲学的ポエムを口にする一面も。


■ 東雲 玲央(しののめ・れお)

澪の双子であり、同じく剣道部所属。

剣道スタイルは理論派で、澪と違って冷静に型と間合いを重視する。

しかし「におい」だけはどうしても克服できない様子。

澪との“嗅覚識別対決”に巻き込まれ、凌の嗅覚センサーに振り回されがち。


《先生たち》

■ 堀内 熊(くま)先生

元・吹奏楽部顧問。力強さと昭和スピリットで部を引っ張ったが、生徒に鉄の譜面台を投げた件で解任。

現在は理科主任。「音楽は筋肉だ」「吹奏とは呼吸なり」が持論。

過去に「バール娘たちの筋トレ合宿」を主催し、生徒を震撼させた。


■ 長谷川先生(理科)

転勤の際、真帆に「理科年表1993」と天気図用紙を贈呈した張本人。

理科教育に哲学的価値を見出す、無口だけど温かな教師。

真帆の中で、気象通報と青春の記憶はこの人から始まった。

「雨の日も嵐の日も、必ず晴れる」は、長谷川先生の教え。


■ 通称:仁丹先生(本名不詳・英語)

教室にふわりと現れ、仁丹の香りとともに去るミステリアス教師。

そのねっとりした口調で「皆さん、ステキぃ…」と言って教室を後にする。

指導力は一級だが、本人の存在が本当に学校所属かどうかは未だ謎とされている。


■ 山内先生(そっとそよ風ASMR)

吹奏楽部顧問。前任のパワー系・熊先生に代わり赴任してきた、音の密室型・囁き系指導者。

柔らかすぎる囁き声で、「ちゃんと奥まで嵌めてね?」「外れたら音が変になっちゃうよ?」など、完全に無害な教育的発言が、思春期男子には羞恥の地雷原。

音楽とは空気を震わせるもの――彼女の指導もまた、羞恥と動悸を震わせる。

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