ヴィンテージヒーロー・ニューエイジ!

木島綾太

1話~4話

プロローグ

 西暦二〇〇〇年。

 前振りも無く、突如として地球の各地に出現した黒い穴、“ゲート”。

 地表上の地面、空中を浮遊するなど既存の物理法則の内に無い、謎の異常現象を調べるべく各国は調査隊を派遣。

 ゲート近辺の採取した土壌、植生、細菌、鉱物が地球上の物と逸脱し、その成長過程や構成物質も把握しきれない。

 加えてゲート内部の調査を目的として遠隔式のドローン、または物理的にロープ等で接続したラジコンを投入。しかし彼らとの通信は途絶え、ロープは突入した途端に千切れ、内部を確認するには至らなかった。

 人的資源を投入するにも何が起きるか分からないとの判断もあり……突飛ながらも、ある種当然の結果として。

 ゲート内部は未知の空間へ繋がっている可能性が高い、という結論が出されたのだ。

 これは慎重に調査を進めていくことが賢明である、そう誰もが考えた時。

 未知なる資源による利権を得ようと、功を焦ったとある国家が独断で調査団をゲート内に突入。生還するかも不明な無謀の極み。


 作戦の成果は、最悪の形で帰ってきた。

 突入させた調査団の代わりにやってきたのは異形の怪物たち。

 人型でありながら動植物の要素を持った者。幻想や空想、想像上の生き物であるドラゴンや怪獣とでも言うべき生物。

 愚かな判断を皮切りに、確認された全てのゲートから招かれざる来訪者が襲来。ゲートも増加し、恐るべき軍勢が押し寄せてきたのだ。

 便宜上インベーダーと名付けた連中に対して、首脳国は未曽有の事態に連合を結び、収束に動いたものの為すすべなく。

 刃物や銃、兵器による抵抗は効果が薄く、破壊され、踏み荒らされ、人類の生存権は瞬く間に蹂躙されていき、世界は滅びの一途を辿っていた。


 ──だが、その中で弾けた連中がいたのだ。そう、日本である。

 彼らは未知の物質、生物に対し並々ならぬ興味・関心を抱き、古来より技術を継承し続けてきた職人の力もあり、積極的にテクノロジーの解明を進めていた。

 ゲートの近辺、かろうじて討伐したインベーダーから入手した資源が効果的だと判明。

 利用し、製作した装備品を前線に配備。刀や槍、弓など古典的な外装ではあるが破壊力は抜群であり、やられてばかりの理不尽な状況に痺れを切らした武士の精神が覚醒。

 徹底抗戦の構えを取って日本に発生していたゲートのほとんどを完全に制圧するという、誰がどう見ても希望の光と呼べる成果を打ち上げた。

 そして率先して技術、職人、装備を海外へ輸出し、世界の反撃が始まった。


 一〇年後。世界事変と名付けられた争いは、襲来してきたインベーダーを駆逐し尽くしたことで収束。

 復興が落ち着いてきた頃、日本の調査団を筆頭にゲート内部の調査を敢行。探索中に友好的なインベーダー……“異類人=ネイバー”との交流に成功。どうやらゲートを通る事で双方の言語が理解できるようになり、それによって得られた情報があった。


 彼らの住む世界は所謂いわゆるファンタジーな要素や文化にまみれている異世界だ。

 そして地球と同じく過剰な攻撃性を持つ人類の敵対種“インベーダー=魔物”に悩まされているとのこと。

 つまりゲートの増加や先刻のインベーダーたちによる侵攻は自然発生したもの。災害や天災に等しい現象の一つであり、今もなお発生し続けている。

 神か天使か悪魔の悪戯いたずらによるものか。少なくとも恨むべき対象がいないという、やるせない状況に変わりは無く、しかし得られた物も多かった。


 ネイバーとの積極的な交流、取り決めを交わした地球側と相互間で協力し合うように。

 ゲートやインベーダーの発生に対して迅速な処理を行う人類敵対種対抗組織“アライアンス”を結成。二つの世界、多国籍な人種で構成された部隊は突発的なゲート、インベーダーの対処に当たっていた。


 技術、人材を組み合わせたことで以前と比べ物にならない復興と発展を遂げて、更に二〇年後。

 地球と異類人の世界文化を学ぶべく日本の東京都の近海に人工学園島を備え、そこに設立された小・中・高一貫のマンモス校。

 対ゲート、対インベーダー用の人材育成も目的に取り入れたパシフィックPacificフェデレーションFederationアシュランスAssurance専門校。


 頭文字を取ってP・F・A──通称パフア専門校と呼ばれる学校には地球人、ネイバーも含めて多くの生徒が在籍している。

 異なる世界の経験と歴史を学び、未来に向けて平穏を維持するべく。日夜、勉学に明け暮れる者たちの中で一人、浮かない顔をしている少年が居た。

 パフア専門校初等部六年、天宮司てんぐうじ明人あきと

 彼は春のうららかな陽気に晒される外の景色を眺めながら、反するように暗く、深いため息を溢していた。

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