永遠のお魚

森野湖畔

永遠のお魚

ある所に1匹のお魚がいました。

お魚は、辛い時代もいい時代も

沢山の時代を生きてきました。


ある時、お魚は人間に捕まりました。

お魚は仲間たちと一緒に人間に釣り上げられました。


お魚はバケツの中で死にゆく仲間たちの中で1匹だけ生き残りました。


お魚の生命力に驚いた人間は、お魚を飼うことにしました。

お魚にご飯を与え、水槽の掃除もこまめにやるなど、とても可愛がりました。


そして、長い年月が過ぎ、人間は老人になりました。

元々お魚に詳しくない人間は、お魚も歳をとっているものだと思っていました。

それでも、遥かに自分の方が寿命が長いと思っていたので恐れすら抱きました。


そして、老人は自分の最期が近いことも分かっていました。

天涯孤独だった人間はお魚を譲る人もおらずお魚を逃がすことにしました。


お魚の故郷の池に来てみますと、澄んだ水は濁り、ゴミが沢山浮いています。


お魚の仲間たちは愚か、生き物の影は一つも見当たりません。

それでも、お魚の故郷に変わりはありません。人間は少し躊躇いましたが、

お魚を池に放すと、家に向かって車を走らせて行ってしまいました。


それからどれだけの時間が経ったでしょう。

人間とお魚のいた星は''水の星''になっていました。


お魚の長い旅は、まだ始まったばかりです。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

永遠のお魚 森野湖畔 @moonkiyo

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ