歪んだ骨

アキアカネ

邂逅①

日常はいつだってで退廃的で色褪せている。

埃の積もった窓際から放たれる光も、

机の上の使い古された鉛筆も、

動かなくなったままの時計も、

その全てが、この部屋に私を閉じ込める檻のように思えてくる。

どれも昨日と同じ姿をしていのに、

その光景は妙に重たく、鈍い色合いで

私を圧迫してくるようだった。


乱雑に積まれたスケッチブックをめくってみても、そこにあるものはいつだって同じだった。

曲がりくねった線、輪郭のはっきりしない形。それらはまるで私自身を反射しているようで、その度に胸の奥が締め付けられるような感覚になる。

「今日こそは」と何度も筆を握り直してみる、

それでも無力感に勝てなかった。

気づけば手を止めて、冷えた空気の中で私は自分の心の沼に沈み込んでいく。


外を見ると、人々の生活が当たり前に流れている。

人はなぜ、こんなにも簡単に笑えるのだろう。朝の通りを行き交う人々の顔には、

常に笑顔が浮かんでいる。

けれど、私にはその全てが遠い。

遠すぎる。

その一つ一つが私には張りぼての温かさのように感じられ、その距離感だけで胸が痛くなる。同時に、私は彼らを見るふりをして、

自分がここに在る理由を探すの必死だった。


本当に、何も変わらない。

変わらないのは世界なのか、

それとも私だけなのか。




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歪んだ骨 アキアカネ @satone_daisuki_club

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