あの頃の気持ち覚えてる?
わたしのほんだな
再び始まる物語
「私はあなたになりたいと思ったから、
努力し続けた。
あなたと同じ世界を見たいってね」
そう言って彼女は笑った。
「そう考えてたの。でも、今は違う」
「あなたになりたいんじゃなくて、
あなたを私のものにしたい」
そう思うの、と彼女は笑う。
「あなたの全てを知りたいし、
私のものにしたい」
僕よりも男らしい言葉を告げる、
彼女のまっすぐな瞳と言葉に、
圧倒され、心を射抜かれる。
やっぱり君は出会った頃から、
ずっと変わらない。
僕は、君の全てを射抜く様な
まっすぐな瞳が好きだった。
「全く…君には敵わないね」
「それは、イエスって事で良いのかな?」
まるでイタズラをする子供みたいな満面の笑みを浮かべる君を見て、僕は一瞬言葉を失った。
「どうしたの?」
鋭い彼女は、
僕の一瞬の動揺を見逃してはくれなかった。
「いや、久しぶりに
君に会えたなって思ってさ」
案の定、僕の言葉に不思議そうな顔をする
君を見つめる。
僕も気付けなかったし、
当然君は気付いてないかもしれない。
こんなに、心の底から楽しそうに笑う君を見たのはいつぶりだろうか。
ある時から君は、変わる事や成長する事にばかりこだわって、日々努力し続けた。
その間、一切、僕が大好きだった、
君の本当の笑顔を見せなかった。
本当は君は誰よりも冗談を言うのが好きで、
みんなと笑い合うのが好きな子だったのに。
何で君の笑顔が消えてしまったのか。
それは、
「僕のせいだよね」
突然の言葉に君は目を丸くする。
だけど、聡い君は僕が抱いている
暗い気持ちを見抜いたのだろうか、
一瞬苦い顔をしたように見えたが、
すぐに満面の笑みを浮かべた。
「あなたの言っている言葉の意味はよく分からないのだけど、とりあえずお祝いしようよ」
私達の再会と始まりを祝ってさ。
そう言って微笑む姿は、初めて会った時の
彼女そのものだった。
「そうだね。
僕らの再会と始まりを最大限祝福しよう」
ずっと近くに居たはずなのに、
もう何年も彼女に会えていなかったのだなと、苦い気持ちを感じだが、
それよりも、今は、
再会できた最愛の彼女と話したい事が
たくさんある。
「ねえ、君の話を聞かせてよ」
本当の君の話をさ。
「時間はたっぷりある」
『再び始まる物語』
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