レッドウルフオペレーションズ

ゆぐ

Someday

 蒼々とした空、太陽の光が眩しく照らすイギリスベイカー街は、いつもと変わらずだった、1つのことを除いては。

(ピコピコピコ)

 カフェテラスでくつろぐ2人。辺りを見回しながら、フラペチーノを飲む。

「そのゲームそんなに面白いですか?」

「やってみたらわかる」

「なんていうゲームです?」

「テトリスだ」、ウルフはドヤ顔で言った。

「おい任務中だぞ」

「わかってるよ。なんのためにJCがいると思ってる」

「JCがカバーできる範囲外を監視するのがお前の役目だろ」

「JCを甘く見るんじゃないぞ。JCはな、こう見え──」

「ボス、来ました」、ウルフは口を閉じた。

 黒のコートに、黒のパナマハットを被り、シルバーのアタッシュケースを持ち、周りをしきりに確認しながら歩いている。

「何かがおかしい」、ウルフが一瞥した。

「同感です」、JCも賛同した。

「やめたほういい。中止だ」

「バカ言え、ここまで来て引き下がれるか」、ネイサンが止めた。

「でも」

「でももクソもあるか。あのアタッシュケース1つで世界が滅んでしまうだぞ」

「ターゲット接近中」、Hが全員に知らせた。

「わかってる!」

「ターゲットの距離40メートル」

「ボス、早く決めてください」、JCが急かす。

「じゃあ、お前決めろよ!」、ウルフの声が自然と大きくなった。

「揉めるなてる場合じゃないぞ。お前とは何十年も一緒に任務をこなしてきた。私は誰よりもお前のことを信頼してる。だから決めてくれ」、ネイサンが割って入る。

「この際言わせてもらうが、お前のその投げやりな感じやめてくれないかな。ストレスなんだよ」

「あのー、皆さん。お取り込み中のところなんですけど、ターゲットが反対の方へ戻ってますけど」

「なに?」

「気づかれてるぞ」

「クッソ!」

「回り込め」

「了解」

「了解」

 黒いコートを着た男を中心として、そこにいる全調査員が一斉に動き出した。

「やっぱりおかしい」

「何がおかしいだ」

「さっきから、俺達とは違った方を気にしてる感じがする。どこか、俺達とは違う誰かに追われてる感じ──」

 かすかに聞こえる銃声。男が倒れて数秒たち音が聞こえた。どこからか、消音装置を使って、スナイパーが狙っている。一気に全調査員たちの緊張感が高まった。

「ターゲット倒れました」

「どこから撃ってきた」

「ちょっと待って」

「ウルフ、JC」

「わかってます」、2人が椅子から立とうとすると「誰か来ました」、Hが止めた。

「ターゲット動きません」

「死んでるな」、ウルフは悟った。

「そこからスナイパーは」

「こっちからは見えん」

「JC」

「こちらもです」

「誰かがカバンを持ち去った」

「ウルフ、カバン追え。JC、ターゲットの安否」

「了解」

「了解」

「何者なんだコイツ」

「データベースにもヒットしない」

「ヤバっ」

「どうした」

「気づかれた」

 謎の男はこちらの方を向き、数秒間ウルフと目を合わせ、謎の男は走り出した。

「追え! ターゲットは」、ネイサンは促し、ウルフは地面を力強く蹴った。

「やっぱり死んでます。見事に急所打たれてます」

「わかった、ウルフの補助にいけ。私も行く」

「了解」、JCはウルフの後を追った。

「クソ足速え」

「なんとしても奪え」

「わかってる! H、案内しろ」、その時ウルフ以外の無線にノイズが走った。

「うわっ、なんだ今の」

『そこ右、次に左、30メートル進んで左』

「よっしゃ」、ウルフは速度を上げた。

「違う、その声は私じゃない」

『これで終わりだ』

「ウルフ、ウルフ! だめだ、誰かが完全に無線を乗っ取られてる」

「どうします」

「H、何とかできるか」

「もうやってます」

「全調査員に継ぐ。もうこうなった以上、誰も信用するな。自分自身で考えて動け。全力でウルフを援護しろ!」

「了解!」

 ──あとはウルフにかけるしかない。


 街中を走りかけるチーム9。ウルフが路地裏に入った。それを見ていたネイサンも急いでウルフの後を追い、路地裏に入る。

(パンっ)

「なんだ今の」、街に銃声が鳴り響いた。その音に街にいる一般人も反応しだした。

「ウルフが、──」、ネイサンは伝えた。


 

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