ついに

 そっちとかこっちとか…よくわからないけど、最近結奈は…よく泣くんですね。

 

 

 ほんとに、結奈を泣かせるやつが許せない‼︎

 

「結奈…結奈を泣かせる奴は、いったいどこのどいつなんだよ?結奈は、だれの一番がいいんだよ?」

 

 泣きじゃくる結奈を抱きしめながら、結奈に聞いた。

 

 結奈は、一番を教えてくれない。

 

 

「わたしの好きな人は、もう…無理なんだってわかった。」

「え?とにかくそいつ連れてこいよ。オレが話しつけてやるから」

 

 …

 

「そうだね…そうしたいところだけど…なかなかね。」

 

 結奈は、そうまっていうワードに敏感だと前からわかっていた。

 

 でも、そうまは…親友。

 

 …

 

 ただの親友ってことは…

 

 …

 

 あー…、オレはわかってしまった。

 

 結奈の好きな人を…

 

「はぁ…、そういうことな」

「ため息とか…ひどいよ」

 

 めっちゃ泣く結奈。

 

 これは、オレも難しいよ…。

 

 だって結奈…そうまの彼氏が好きなんだ?

 

 親友の彼氏好きになるとか…あー…まぁ、好きになっちまったんなら、どうしようもないわな。

 

 実際、オレもずっと結奈を好きだし…。

 

「うーん…結奈…それは…なかなか…」

「わかってる!無理なんでしょ?だから、二番目でもいいって言ってるじゃん」

 

 …

 

「辛いな…」

「うん。ごめんね、わたしのせいで…」

「ううん。結奈は、悪くない。」

 

 結奈は、ずっとオレに抱きしめられながら泣いた。

 

 

 このまま、オレは一生独身なのかな…

 

 結奈は、一生オレを好きにならないんだろうな。

 

 こんなにそばにいて、抱きしめているというのに…。

 

 オレはずっと…結奈を見守るお守り和紀として、生涯を終えるのかもしれません。

 

 これもきっと、罰でしょうか?

 

 ずっとバイト中、ふわふわしたりドキドキして、きちんと仕事に向き合わなかったせいです…かね?

 

 仕方ありませんね…。

 

 

 結奈を抱きしめて、反省していると結奈の携帯がブーブーなった。

 

 そしてなにやらメッセージが届いたっぽい。

 

 

 結奈は、携帯をみて驚いた顔をして…また泣いた。

 

 え?

 

「どうした?」

「そうまからだった。両片思い♡だって」

 

 …

 

 ん?

 

「だれと…だれが?」

「自分でしょ。そうま…もしかして彼氏と別れたんじゃ」

「え?オレ関係なくない?てか、そしたら…結奈が両片思いなんじゃね?」

「は?だれと?」

「そうまの彼氏と」

 …

 

 お互いキョトンとした。

 

 

 はて?

 

「なんで…そうまの彼氏?」

「だって、結奈は…そうまの彼氏が好きなんでしょ?」

「え?なに言ってんの?わたしが好きなのは…てか、和紀こそ…よかったじゃん」

「なんで?」

 

 結奈は、またも今にも泣き出しそうに

「だって…だって…そ、そうまと両思いになれたんだから。そもそも和紀は、男でも女でもどっちでもいいくらい、そうまが好きなんでしょ?」

 って、また泣いた。

 

 ⁇

 

「そうまとオレ?なくない?だってオレ…そうまのこと、この前まで大っ嫌いだったんだ。ごめんな、親友なのに」

「へ?うそ…だよね?だって、一目惚れしたんでしょ?ずっとそうまそうまって言ってたじゃん⁈そうまと彼氏が駅で一緒にいるのみて、ヤダって言ったよね?」

「あー、だからそれは…男だと思って…オレ…ずっと結奈が好きだったから、心配だったんだよ」

「え?わたし…を?」

「うん。オレはずっと結奈が好きなんだ」

 

 あー、ついに言ってしまった…

 

 絶望感でしかない…

 

 

 

 …

 

 

「う、嬉しい」

 

 ⁉︎

 

 結奈が泣きながらオレに抱きついた。

 

「う、嬉しい?どういうこと?ありがとう的な?」

「わたしも、ずっと好きだったよ?なのに和紀が親友のそうまを好きって思ってたから…なんなら、せなも狙ってたって勘違い…してた。でも、せな違いだった。一緒に映画とか行ったりしてたのが、全然知らない男の人だったってわかったときは、びびった…。せなに慌てて電話で聞いたら、和紀のこと知らないっていうし、バイト先もわたしの知り合いのせなは、スーパーでさ…」

 

 …

 

「えっ⁉︎⁉︎そうなんだ…てか、オレのこと好きなの⁉︎」

「うん。ずっと前から…好きだったよ」

 

 マジか…

 

「オレがずっと結奈を泣かしてたんだ…マジでごめん、ほんっとうにごめんなさい‼︎」

「ううん、わたしも…わたしの勘違いだったし」

「結奈、オレ…これからは、結奈を泣かせない。今まで勘違いさせた代わりに、これからは、一生かけて結奈を幸せにするな。」

「うん。ありがとう、なんかプロポーズみたいだね」

「たしかに。でも…プロポーズは、いつかきちんとするからそれまで待っててね。それより、一番になれたらキスするって言ってたよね?していい?」

「うん♡」

 

 オレは結奈の涙を拭って、結奈にキスをした。

 

 

 優しく、長く結奈を感じた。

 

 そしていったん結奈の顔を見て抱きしめて、今度は、少し抑えきれなくなってしまったので、さっきと違うキスをした。

 

 

 これで自販機の呪いは、とけた。

 

 オレのキスあじは、なんとも古風なお茶味でした。

 

 でも、これからお茶をみるたびに結奈を思い出す。

 

 それも、いい思い出になりそうだ。

 

 おじいちゃんおばあちゃんになっても、ずっとお茶を見るたびに、思い出して笑いあいたい。

 

 

 

 

 その後、そうまにはお詫びとお礼を結奈と一緒にした。

 

 

 そうまは、めっちゃ笑った。

 

 しかも、わたしの連絡が来なかったら、あんたたち、まだすれ違ってたかもねって、腹を抱えて笑っていた。

 

 大っ嫌いだった人が恩人になった。

 

 

 

 その帰り道、オレは結奈に何度もキスをした。

 

 たくさん泣かせた分、たくさんキスとハグで巻き返す…というか、オレがとにかく結奈とくっついていたいというのが正解だ。

 

「結奈、好きだよ♡」

「わたしも好き♡」

 

 チュ〜♡

 

 こうして、ながい両片思いがやっと報われたのであります。

 

 あ〜、これから幸せで頭も心もふわふわしちゃうなぁ。

 

 バイトきちんとできるかなぁ♡

 

 なるべくふわふわしないようにバイト、頑張りまぁす♡

 

 

 

 

 おしまい♡

 

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幼馴染が入学早々…彼氏つくって部屋に連れ込んでますけど⁉︎ 猫の集会 @2066-

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