魔法が「神秘」ではなく、「技術」や「学問」として扱われる世界観がとても新鮮でした。
専門的な術式がロジカルに描かれていて、魔法という題材でありながら、読み味はどこかサイエンス的。
ファンタジーと理性が絶妙なバランスで融合した独自の空気感に、すっと引き込まれます。
さらに、物語が進むにつれて色濃くなっていくのが、ホラーのような緊張感。
静けさの中に忍び寄る狂気、そして“記憶”という内面の迷宮をたどる構成は、
ダークファンタジーとサイコホラー、心理劇が巧みに融合したような仕上がりで、ジャンルにひとくくりできない独特の魅力があります。
とくに文体の没入感が印象的で、
静かな描写の中にふと現れる衝撃的なシーンが、強く心に残ります。
静けさと激しさ、その緩急のつけ方がとても巧みで、読んでいて引き込まれました。
この世界観がどこまで広がっていくのか。
そして、登場人物たちが関わる“大きな事件”の全貌が明かされていくのか。
これからの展開が非常に楽しみです。