理想と現実なんてかけはなれている人が多いかもしれない。僕もそのうちの1人だ。子供のころは野球が好きで、よくTVでもプロ野球の試合を見ていた。その頃は｢自分もプロ野球選手になれる｣と割りと本気で信じていた。けど中学高校と上に行けば行くほど自分自身の実力のなさに気づかされ、しまいには野球をやめようかと思った時期もあった。社会人になってからは同期の仲間が簡単そうにやってる仕事も僕にとってはめちゃくちゃ難しい内容で失敗ばかり続いて｢なんで自分はこんなことも出来ないんだろ。もっと簡単に出来ると思っていたのに｣と自分の能力のなさに落ち込んだり、自分を責めたりすることが多い。

　そんなこともあり、一時期僕は自己啓発本を読み漁っては、｢この方法なら今より良くなれる｣｢もっと充実した人生が送れるはずだ｣と試してはみたもののどれもこれも長続きしないし、全く効果を感じないものばかりだった。そんな時期が7~8年ほど続き、僕は長く付き合っていた女性と結婚をした。その時は僕の人生の中で最も幸せな時期だった。｢この人とならずっと一緒に離れることなんてない｣と思っていた。ただそれも長くは続かなかった。というのも結婚したのも｢長く付き合ってきたし、そろそろ結婚したほうがいいかな｣｢結婚したら親も喜ぶだろうし｣と自分自身の気持ちはそっちのけで決めてしまったのだ。そして妻からは｢子供は欲しいと思う？｣と聞かれ、僕はいらないなんて言ったら悲しむだろうな。とまた自分自身の気持ちは無視してしまい｢うん、欲しいね｣と言ってしまった。結局結婚も子供に関しても僕は自分自身の気持ちを伝えずに周りの人ばかり優先してしまった結果、ストレスが溜まり、ギャンブルや不倫行為に手を出してしまった。結婚する前はよくTVで芸能人の離婚、不倫などワイドショーでみていて、｢またこんなニュースやってるな。離婚とか不倫なんて、何でそんなことしちゃうんだろう｣と当時の僕は自分なんて無関係な話だと思っていた。けど現実は自分も全く同じことをやっている。(離婚はしてないが、別居中)何でこんなことしてしまったんだろうと毎日のように仕事中でも考えてしまったりして、自分がやったことだから自業自得だけどメンタルはボロボロで食欲もなく、体重は10kg近く落ちていた。｢何で自分が…｣｢自分のことよりみんなのことを考えて、想って今まで生きてきたのに｣と自分自身のことばかり考えてしまい、妻や子供たち自分や妻の両親のことなんて考える余裕は殆どなかった。

　理想と現実。僕はこれまでの人生で幾度もなくその違いに悩み、苦しみ、逃げてきた。逃げてきたというのは理想とは程遠い自分のことを認めることから逃げていた。このところは僕も考え方が変わってきたのか｢ダメな部分も含めて自分であり、良いところだって少しはある。自分のしたことは決して許されるべきものではないことだけど、少しだけでもいいから自分のことを好きになって認めてあげよう｣と。

　そんな僕だけど今日も仕事でやらないといけない仕事を先延ばしにしたり、この前はしばらく辞めれていたパチンコをやってしまったりと相変わらず｢理想と現実｣とは程遠い日々が続いている。それでも僕はこれからも理想とする自分を追い求めてこの現実の世界を生きていく。