道化師のバイブル

野守

序幕

第1話

 光が踊っていた。絶えず形を変えながら、美しい軌跡を残しながら、光が闇の中を眩しく舞い踊っていた。


 その幻想を支配するのは、道化師を名乗る一人の男。頬に描いた涙がその証。動き続ける光と同じく、彼自身もまた幻想から生まれたかのような不思議さをまとっていた。見つめる人々はその輝きに目を奪われ、心を掴まれ、その場は完全に支配されていた。


 これはとある道化師が、救いを探した物語。

 とある道化師にかけられた、愛しき呪いの物語。

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