第20話「いいお友達でいてね」

 リオル達が着いた場所は家や小さな店が立ち並び人が行き交う、小規模ながらも町だった。


「うわあ、人がいっぱいだね」

 リオルが目を丸くして言うと、

「そりゃそうよ。だってここ、都だった場所よ」

 コノミが町を指して答えた。


「え? ここがそうなの? 西のハカタ町の方がもっと賑やかだったよ」

 リオルは町を見ながら言った。


「あ、他にも大きい町あったんだ」

「ねえ、そこも人いっぱいいたの?」

 スグルとコノミが尋ねる。


「うん。あと巫女姫様がいるよ。英雄王様の仲間の子供だって」

「へえ、そんな子がいるんだ。会いたいなあ」

「そうね。あ、私達の家はあっちよ」


 案内された所は、日本の神社のような建物だった。

 リオルはそこまで知らないが。


「うわあ、おっきい。二人共ここに住んでるの?」

「そうよ。こいつが一応町長だからね」

 コノミがスグルを指して言う。


「え、そうなの? 凄い!」

 リオルが目を輝かせて言うと、

「凄くないよ。両親が偉い人だったんで、僕は何もしなくていいからなりなさいって言われただけ」

 スグルは手を振って言った。


「へえ~。あれ? なんでパパとママじゃ……あ」

 リオルが気まずそうにしていると、

「想像通りだと思う。僕の両親は疫病で亡くなったよ。兄ちゃん姉ちゃん達もね……」

「私もお父さんやお祖母ちゃん、お祖父ちゃんがね」

 スグルとコノミが寂しそうに言い、

「そうなんだ。僕もパパとママにお祖父ちゃん、村の人達皆が……」

 リオルも俯きがちになった。


「え、じゃあ家には誰がいるの?」

 スグルが尋ねた。

「えっと、助けてくれたおじさんに、後から来たお姉ちゃんと竜」


「うわ、竜がいるの? ねえ、どんな子?」

「スグル、続きは中に入ってから話しましょ」

「あ、そうだね。こっちだよ」



 

「さあどうぞ」

「うん。あ」

 案内された部屋は質素な造りでテーブルがあって、奥に祭壇が置かれていた。

 

「父さん母さん、兄ちゃん姉ちゃんを祀ってるんだ」

「そうなんだ。ねえ、お祈りさせてもらっていい?」

 リオルが祭壇を見ながら言った。


「うん。きっと皆喜ぶだろな」

「リオルって礼儀正しい子ね。あんたとは大違い」

「むううう」

 コノミに言われたスグルはまたむくれ顔になった。



 そしてリオルが手を組んで祈っていると、


「その子ですか、家出してきたという子は?」

 コノミと同じ桃色の髪で、顔立ちも似ている女性が入ってきた。


「お母さん、そのうちこの子の家族が来るからあまり言ってあげないで」

 やはりコノミの母親なんだと思うリオルだった。


「それならいいけど、スグル様は」

「離そうとしないわよ」

「分かりました。じゃあ部屋の準備してきますね」

 そう言ってコノミの母親は部屋から出た。


「スグルってほんと偉い人なんだね」

「だから偉くないって。あ、そうだ。もう二人紹介するよ。一緒に来て」



 また案内された場所は、離れにあったお堂みたいな建物。

 中に入ると、

「おば、じゃなかったお姉ちゃん。友達連れて来たよ」

「しーっ、静かに」

 そこにいたのはベッドに座っている蒼く短い髪の若い女性と、小さなベッドで寝ている赤ん坊。


「ふふ。その子はどこの子?」

 女性がリオルを見て尋ねた。

「あのね」

 スグルがリオルを紹介した。


「そうなんだ。わたしはリナっていうの。この子はシュウタ」

 リナが自分と赤ん坊を指して言い。

「シュウタは僕の弟でね、一歳だよ」

「違うでしょ。リナお姉さんとスグルのお兄さんの子供でしょ」

 スグルが得意満面で言うが、コノミにツッコまれた。

「分かってるよ。けどリョウ兄ちゃんも死んじゃったから僕が守るんだ」


「ありがとね。ところでリオル君、ちょっと近くに来てくれる?」

 リナが手招きして言う。

「え、うん」

 リオルがおそるおそる近寄ると、


「……やっぱり。あなた全呪文契約できたのね」

 リナは少し目を細めて言った。

「うん。なんで分かるの?」

「それは秘密。ねえ、スグルやコノミちゃんといいお友達でいてね」

「うん」

「あとね、この子がスグルのお兄さんの子供だって言わないでね」

「なんで?」

「それを言うと世界が乱れちゃうの。今言えるのはこのくらいだけど、お願い」

「……分かった」

 リナの真剣な眼差しを見て、よほどの事なんだと思うリオルだった。 


「さ、そろそろごはんの時間よ」

「うん。じゃあまた後でね。リオル、コノミ、行こう」

 スグルに連れられて二人は部屋を出て行った。


――――――


 俺達が山の麓に着いた時、もう日が暮れかけていた。

 それと山道はあるのだが、車で通れるほど広くないし当然舗装もされてない。

 トンネルなんてのもない。

 

「しょうがないね。あーしもパパも飛翔呪文は使えないもんね」

「ボクがもうちょっと大きかったら乗せて行けたのに」

 ライラとココが山を見ながら言う。


「よし、二人は家に戻ってくれ。ここからは俺一人で行く」


「え、危ないよ。あーし夜目効くから一緒に行くよー」

「そうだよ。ボクも夜目効くからさ」

 二人共そう言ってくれるが、

「いいから戻って。山を越えたら一旦魔法で戻って迎えに行くから」


「いいや、あーしが要らん事言ったせいだし」

「いいから!」

「うっ……」

 思わず怒鳴ってしまい、ライラを怯えさせてしまった。


「あ、ごめん」

「う、ううん」


「ねえ、危なくなったら山超えなくても帰って来てね」

 ココが俺の前に浮かんで言った。

「分かった。じゃあ行ってくる」




「大丈夫かなあ……」

「お姉ちゃん、家に帰ろ」

「うん……あんた強いね。あーしは不安でいっぱいだよ」

「ボクだってそうだよ。けど信じよ」

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