第20話
(うぅ〜…もっと戸締まりしっかりしとけばな〜…)
「…そう気を落とすな、私でも防ぐのは限界がある。…何せ姉上は器用な人だ…」
「まぁ、無力化に協力する他無いだろうさ…」
「うん、でも何すりゃあいいんだ?」
「犯人は現場に戻るからな…封魂墓所で待ち構えるんだよ。」
「また遠くに行かなきゃいけないのか…今の内に戸締まりを強化しなくちゃな。」
───────────────────数日後…
「準備終わったよ…さて、行くかぁ…」
「頑張んなよ?折角人類と和平を築いたばっかなんだからな。」
「はい…」
「そうだ…今回は助っ人を呼んどいた、詳しい事は彼らに聞きな。」
「どもども〜」
「それはいいけどさ…何でサツキに掴まるんだ?」
「これから飛ぶんだよ、目を閉じときな。」
「え?」
「はあぁ…」
サツキは力を解放し、空へ飛び上がる。
「ゔに"ゃあ"あ"あ〜!?」
「派手な花火みたいだねぇ…」
飛び上がると同時に音を置き去りに空を落ちる。
「俺は大丈夫…俺は大丈…やっぱダメだ〜!」
「静かに、気が散る…」
「「無理いぃ!!」」
「…落とすぞ?」
「「………」」
永遠にも感じる数十秒…サツキは凄まじい速度で目的の場所へと向かっていく。
「そろそろ着くぞ。」
「あっ…!やっと終わる!」
「ここからが本当の地獄だぞ…!」
「にゃっ…!?」
音すら置き去りにする速度で大地に落ちる。しかし、地面に触れる寸前でブレーキがかかる事でとてつもないGに襲われる。
「……!!!!」
「着いたぞ。」
「えぅ〜…慣れないわコレ…ネフェル?」
「…………」
「気絶しているか…情けないな。」
「いや当然だよ?というか、向こう見なさい!人間さんめっちゃビックリだよ!?」
「うむ…まさに驚天動地と言うべきだな…」
「…あれ?アンタ前に会ったよな?」
そこに居る戦士達には見覚えがあった…かつて自分を殺しにやって来た勇王讃会の刺客…
「いかにも![元]魔王討伐部隊の
「相変わらず騒がしいな〜…」
「アタシは全員と初対面だね、黄虎のネフェルだ。」
「……ゼパルだよ。」
「…フン…」
「サツキ〜?今回は協力しないと駄目よ?」
「…あぁ…」
「えと…改めまして、ジャンヌです。」
「確か…魔王を殺しかけたって部隊らしいな?ちょっとだけ組み手でも…」
「ネフェルちゃん?今回は協力しての防衛だよ?」
「…分かったよ。」
「あ〜…この前はごめんなさいね…」
「い、いえ…こちらも強硬手段を取っていたのですし…」
「…それでもあれは痛かったよ?」
「ごめん…どんな攻撃したの?」
「…覚えてないの…!?」
「チセは混心の身だ…もう一つの魂があり、表に出たという訳だ。」
「そん時に出たのが、本来この身体にあるべきミズチだったのさ。」
「……ならば…あなたは何者なのですか?」
「俺は単なる異物だね。」
「………」
「なんか雰囲気暗くしちまったな……今日のお仕事は?」
「翼の天魔種は大胆にも来る時間を予告してきた。明日の夜に墓所の魔王を復活させるつもりらしい…」
「明日まで待つのかぁ…」
「……姉上…」
「…一つ聞きたい事があります。」
「えっと…ジャンヌちゃんだっけ?なんでしょ?」
「何故私達を恨まないのですか?」
「え?別に…そこまでするほど君らに入れ込んで無いし…それにもう今は協力出来るからね…」
「…私には、殺しに来た相手をそこまで簡単に許す理由が…分かりません…」
「んな事言ってもねぇ…サツキもネフェルも最初は俺を殺しに来たし…」
「え…」
「…否定はせん。」
「うん…」
「で、では何故今は友好的関係に…」
「「…秘密」」
二人は顔を赤くしてもごもごと話す。
「…まあ、色々あるのよ。」
「もしかして皆そういう関係かな?」
「お、オイ!?そんな訳無いだろ!?サツキも何とか言って…」
「……」
「わ〜お!噂は本当なんだね!?」
「なんだい噂って…!」
「何処でも話題になってるよ?新しい魔王は対立する気の強い奴を籠絡するのを趣味にしている魔性の女だって…」
「何それ?俺ってそういう評価なの?確かに顔もスタイルもいいとは思うけど…」
「自分で言うのか…」
「だって…俺はこの身体に元からいる方じゃあないからな…自画自賛じゃない客観的意見だよ。」
「どういう理屈だよ…?というか、見なよ!サリエルがすっげー気まずそうにしてるよ!?」
「…私は聞くべきではないだろうからな…」
「待て待て、男一人で女子とつるむのは俺もきついぞ?」
「………アンタ男なの?」
「魂だけね、身体は女だよ。」
「………!?」
「あぁ…いきなりとんでもないカミングアウトするから…全員硬直しちゃってるじゃないか。…アタシもそうだったけど…」
「なんというか…本当に常識が通じないですね…!」
「情報が…!情報が多い!」
「まだ色々あるよ?」
「もういいって!頭破裂しちゃう!」
「ははは、思ってたより楽しくなりそうだね。」
「こっちはもう既に疲れが出始めているよ…」
続
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