イクヴァール神話の概要と魅力
そもそも読者の皆様は、「イクヴァール神話」という神話をご存知だろうか。もしいらっしゃれば、その方は非常にマニアックな神話好きと断定せざるをえないほどの、それほどまでにマイナーな神話である。
このイクヴァール神話とは、〇〇洋に浮かぶ中規模の列島であるイクヴァール列島にのみ伝承されてきた、非常に狭い範囲の神話となっている。その存在が明らかとなったのは今からそう遠くない昔であり、専門の研究者も非常に少ない、そんな神話となっている。
このイクヴァール列島の周囲は潮流の都合上、ただ海に浮かんでいるだけでは決して辿り着けない島となっている。その結果、島独自の文化が無数に発達。神話もまた独自の物が誕生し、伝承されてきたという訳である。
まずはイクヴァール神話の簡単な概要について語っていく。
イクヴァール神話を語る上で、創世神イクの存在は欠かせないだろう。イクはその名前からも察せられるように、イクヴァールの名の元となった神である。この「イク」に、大地や世界の意味がある「ヴァール」を組み合わせてできたのが「イクヴァール」という単語であり、「イクの大地/イクの世界」と訳することが出来る。
そしてもう四柱、イクヴァール神話の根幹を担う神々が存在する。それが始祖四柱と呼ばれる神々であり、イクによって生み出され共に世界を創造した存在である。イクヴァール神話では「火、土、風、水」が四大元素となっているが、始祖四柱はそれぞれを司る神々となっており、イクヴァール神話において重要な存在であることは想像に難くない。
次は、この始祖四柱について簡単に紹介をしていく。
イェスルヌは始祖四柱の長男であり、火を司る神。理知的で厳格な性格をした神々のまとめ役であり、度々苦労している姿が描かれる。彼の生み出した神々は「火の神族」と呼ばれている。
オラウェンは始祖四柱の長女であり、土を司る神。優しく慈悲のある存在として描かれる一方、一度怒れば始祖四柱の中で最も恐ろしいとされる存在。弟のフトゥドゥヌを嫌っている。彼女の生み出した神々は「土の神族」に分類される。
フトゥドゥヌは始祖四柱の次男であり、風を司る神。社交的で遊び人な存在としての描写が多く、トラブルメーカーな一面がある。イクヴァール神話におけるトリックスター的存在。彼の生み出した神々は「風の神族」に分類される。
プォモヅンは始祖四柱の次女にして末っ子の、水を司る神。イェスルヌ以上に厳格で、規則やルールを重んじる性格をしている。火と水の関係からか、イェスルヌはプォモヅンには頭が上がらない様子が描かれることもある。彼女の生み出した神々は「水の神族」に分類される。
以上の四柱と神々と、彼らの生み出した神々が合わさり、イクヴァール神話を彩ってゆく。彼らは神らしい威厳を持ちつつ、悩んだり失敗したりすることもあり、全知全能で完璧な神と言うよりは、身近な存在として描かれる事が多い。
私個人としてイクヴァール神話の魅力をあげるとするならば、前述した通り神々の人間味溢れる姿だろう。
詳細は別の項目で語るが、世界創世の話の中で四柱達は、最初こそ協力して世界に彩りを加えて行き、父であるイクに褒められていた。しかしその「褒められたい欲」が徐々に暴走を始めた四柱達は、自分たちの力を誇示しあい、終いには世界が崩壊する危機にまで陥ってしまう結果となった。これを見たイクに叱られた四柱達は反省し、協力して世界を元通りにした、という描写がある。
私はこの「お父さんに褒められたいから頑張りすぎたら失敗した」というのがとても好きで、イクヴァール神話を学び始めた当初にこの話を読み、なんとも人間味溢れる描写だな、と感じた事を今でもよく覚えている。
このように、イクヴァール神話は神々の人間味溢れる姿が非常に印象的な神話であると私は思っている。当然、神以外にも印象的な存在は多数おり、どれもこれもが魅力的である。
そんな魅力的なイクヴァール神話について、今後も語っていこうと考えている。更新は気まぐれな為不定期だが、気を長くして待っていただければ助かる。
次回は、「四大元素」と神族について語っていこうと考えている。
イクヴァール神話研究ノート イクヴァール神話研究会 @Ixvr
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