希望のエレメンタル〜女神の愛した絶世の美男〜

たるたも

序章

女神の神託

「女王フィス様!女神様からの御神託がありました!」

 

 突如、王城に女性の声が轟く。


「なんと!それは誠か!?最後に神託があったのは、確か、実に200年ほど前だった気がするの。それで?どのような神託だったのだ?」


「それが…ここより南方にある楽園迷宮の地下を掘れという事でした!そこにある結晶にこれを捧げろとの神託でした!」


 そう言い女性は、手に持った包みを開ける。

 そこには、赤子の拳程度の大きさをした虹色に輝く宝石があった。

 色鮮やかに発色した輝く宝石をみて、そこにいる者は皆魅了され声を失う。

 

「こ、これをそこに持っていけばいいのだな?」

「はい、そうです!」


 女王はそう聞くと立ち上がって声を張り上げる。


「皆の者!聞いていただろう!!今すぐに楽園迷宮に向かうぞ!」

「「「「「はい!!」」」」」

 

 それからの行動はとても早かった。


 あっという間に楽園迷宮の地下に穴を開けることが出来た。地面を掘った先にには、土埃にまみれた古い扉がある。

 ここは迷宮の中だ。なので、扉の先には魔物がいるかも知れない。

 女王を守る様に陣形を組んでその扉を開ける。

 

 扉の先には、部屋のど真ん中にとても大きい結晶がひとつだけポツンと置いてあった。

 

「これが女神の言っていた物なのか?なんと美しい…」


 結晶には古代文字が彫られている。


「何と書いてあるのだ?」

「お任せを…この子をよろしくお願いします?と書いてあります!」

「この子?この中に何かいるのか」


 結晶をよく見ると、真ん中に小さな窪みがあるのを発見した。その窪みは、私達が持ってきてた宝石のサイズにピッタリのようだ。


「女神が言っていたのは、この窪みに宝石を捧げれば良いのだろうか…」

「多分、そうだと思います」

「やってみるか…」

「女王様!何があるか分かりませんので私にお任せを!」

「な〜に、大丈夫さ」


 女王はそう言って窪みの部分に宝石をはめ込んだ。


 すると、結晶は光り輝く。

 皆が眩しさで反射的に目を閉じる。

 光が収まり目を開ける。そこには小さな子供が浮かんでいた。辺りは結晶がすでに無くなっていて、宝石のみが残った。その宝石が子供に近づく…そして、宝石は子供の額に埋め込まれていく。そして、埋め込まれると同時に子供は倒れこんだ。


「あ、危ない!」


 女王は子供が地面にぶつかる前に子供を抱き抱える。そして子供の顔を見た。


 

 何と綺麗な顔なんだろうか…女王は子供に見惚れて放心してしまう。


「女王様ご無事ですか!?」

「あ、あぁ、この子に何か着せる物はあるか?」

「只今!」


 とりあえずこの子が冷えないように、自分のローブを掛けようとする。その時女王は気付く…


 この子は男の子だということに。


「お、おと、おとと、男だ!この子は男の子だぞ!」

「「「「!!??」」」」


 男の子だと聞いた瞬間、皆んなの目の色が変わる。子供を心配している目から、獲物を見つめる目に…


 

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