第参章 対峙の章

古(いにしえ)の時代、光と闇と、天と地とは混沌として交わりき。

神、これを憂い、分け隔てたまう。光は昼を司り、闇は夜を守らしむ。


然れども、いずれか一つに偏りし世は、常に乱れ、争い絶えず。

神、再び降臨し、律を説きたまう。


曰く――

「善悪を越え、是非を越え、真に価値あるは“対峙”なり。

汝ら、己が心と、敵と、時と、対し向かうを恐るなかれ。真理は常に、衝突の中より生まれる」


斯くて、神は五つの徴を授けし。

一に、剣――裁断の象。

二に、鏡――映し見る象。

三に、杯――受けし意志の象。

四に、秤――量り測る象。

五に、火――浄化と再生の象。


人の子、これを受け取り、いずれか一つを手にせよ。

されど、道は一つにはあらず。進むも退くも、また選びなり。


神、なおも告げたまう――

「対峙せよ。恐るることなかれ。汝がなす選択こそ、神律の礎となる」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る