衛藤を待ちながら
第11話:終わった後の、その世界(前)
うかつだった。
死後の世界などないと思っていたし、あったとしても既存の宗教の説話は嘘だろうと思っていたし、事実眼前の世界はどの宗教にも存在しないであろう地平線だった。
だが、何よりもうかつだったのは。
「チート転生者とかではない、のは仕方ないにしても……」
眼前のふわふわした材料ででしかできていないだろう光景を見て、頭を抱える。すると、目にも鮮やかな漆黒の髪の毛がわさっと降りてくる。何せ、まだ髪を切る年齢でもない(だろう)し、乳離れやおむつ離れは済ませた年齢(恐らくは、だが)ではあるのだが、何せ意識がはっきりしだしてからの初めてのトイレで違和感を覚えてふと下を見ると
寝物語には父祖の活躍と称する幻想譚を聞かされ、恐らくそうではないかと思っていたが、まあそもそもがそもそもだ、十中八九、ここは幻想譚的な世界なのだろう。とはいえ、それならば問題がいくつか存在する。と、いうのも、だ……。
「ここ絶対、
姫様と呼ばれては居るが、ドレスではなく和服だし、和服っていうか今着ているわけではないが、儀式用として指定されて居るであろう服を見たら明らかに十二単だ。まあさすがに十二単といっても本当に十二枚も和服を着るわけではない(というか、今時分(?)は十二単自体さっき言ったように儀式用に過ぎないらしい)のだが(現に、今着ているのは病衣的な白衣で、十二単的な数え方をしてもせいぜい二、三枚だ)、この内小袖とかいう和服にしても、絶対に高いだろう、ってレベルの服だったりする。
絹よりも肌触りの良い生地なんて存在していたのか、この世に。そしてそもそもこの服にせよ髪の毛にせよ、なんかGAIJINの間違ったニッポンポーン的ななんかそれっぽいような気がするのは気の所為だろうか?
とはいえ、それにしては
「もういい、考えるの止め」
そもそも、今の自分の名前や年齢すらもおぼつかない状態なのに、その上の思考とか考えるだけ無駄だな。考えても結論は出ないだろうし、情報収集から始めるとしよう。うん、まずは情報で基礎固めだ。
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