第2話 岩壁へ

とんでもないめにあって家に帰ってみるとお母さんがパートから帰ってご飯の支度をしていた。

「おかえりなさい、テストどうだった?」

「ただいま…まあまあだったかな…」

「嘘でしょ、また点数悪くて補修とかになってないでしょうね?」

「それは…」

「補修なのね、全くゲームばっかりやってないで勉強したら?

 来月から塾もいってもらうからね!」

「…わかったよ…ごめん、もっと勉強するよ」

いつも、勉強の事ばかり聞いてくる。

たまには、学校であった事とか話したいのに…

今日なんて特に。

逃げる様に2階の自分の部屋に駆け上がってベッドで横になった。

なんだか疲れてすぐ寝てしまった。


“キンコンカンコン”放課後のチャイムがなる。

今日はあの女子に崖壁にくる様、言われたがあの崖壁は通らず遠回りして帰るつもりだ。

あんな変人に関わりたくない。

「あ!やっぱりいたね!」

ロッカーからカバンを取り出し帰ろうとした所で声をかけられた。

昨日の女子が自分の中学の制服を着て立っていた。

「同じ学校だったんですね」

「そーうだよ。君の制服を見た時、同じ中学だってわかったから一日中探してたよ

やーと見つかった、まさか階が違うなんてね」

僕の中学校は学年によって階が違う1階から3階まで1、2、3年生と階が高くなっていく。

僕が2階だから彼女は年上か年下だ。

「あーし、3階のA組だからいつでも来てね」

先輩だったのか念のため、敬語使っておいてよかった。

「そうですか、じゃあまた化石掘りの話聞かせてくださいね」

そのまま、話を流して帰ろうとすると腕をガシっとつかまれた。

「まさか、逃げようとしてないよね。昨日の約束わすれてないよね……」

「…はい、大丈夫です。」

顔は笑顔だが野太い低い声で言われて思わずビビッてしまった。

「ならいい!」

化石掘りに行く事になってしまった。


「ちょっと、この橋と壊れたりしないですよね」

距離は50mほどだが誰かが手作りで作ったのか手すりはなく2本の太い木の間に少し厚め木製板が張ってあるだけだ。

「2人乗れば壊れるかも!1人ずつ渡れば大丈でしょ!たぶん。」

最後だけ自信ながげに言わないでほしい余計心配になる。

幸い、橋から川までの高さは2-3mぐらいだろうか。ただ大きな岩がゴツゴツと並んでいる。

落ちたら大怪我にはなりそうだった。

「あーし、先行くから、ついてきてよ。化石掘りの場所はここを渡ればすぐだから」

彼女が先に橋を渡りきったらその隙に逃げれるのではー

「まって、逃げようとしてるな!先に渡って!」

…彼女はテレパシーの才能あるな

「はい、はい、わかりました。さき渡りますよ。」


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