告白の仕方

めぇ

告白の仕方

三枝さえぐさ先輩だったらどんな風に告白しますか?」


春、ぽかぽか陽気が気持ちよくて私が気分がいい。

だけど三枝先輩は眠そうにふわっとあくびをした。


「ん~、俺告白はしねぇから」


「うわっ、モテる人の意見すぎる!」


愛紗あいさちゃんもおいでよ、こっちの世界に」


「無茶言わないでください」


手招きをされて本当は近付きたい、でもそんなことできなくて眠そうな三枝先輩の横顔をただ見てた。

屋上でサボる三枝先輩を見付けて追いかけて来ただけの私にそんな勇気はないから。


「三枝先輩次の授業なんですか?」


「数学」


「あ、私数学得意です!」


「じゃあ愛紗ちゃんが受けて来てよ」


「私のクラス体育なんですよ」


「体育サボる人ってあんまいなくね?」


グラウンドでは私のクラスの子たちが一生懸命走っている。今日はハンドボールだっけ、その準備運動中かな。


フェンスにもたれながらじーっとグラウンドを見る三枝先輩の横顔を、気付かれないように横目で追いかけて。

ドキドキと鳴る心臓の音を聞いて静かに息をする。



三枝先輩だったらどんな風に告白しますか?


どんな風に告白したらいいですか?




私は三枝先輩に告白がしたいです。




「愛紗ちゃんはどんな風に告白するの?」


「え?」


ふいに三枝先輩がこっちを見るからパチッと目が合っちゃった。

ドキドキしていた心臓がドキンと大きく鳴り出して息が苦しくなる。


「私は…」


三枝先輩の瞳に私が映ってるから。


「好きです」


春の風は時折冷たい、こんなにあったかいのに体に当たる風は寒く感じて。


「って言いたいです…っ」


下を見そうになっちゃった。

ぎゅっと制服のスカートを掴んで、うるさくてしょうがない心臓の音が邪魔をするから。


「じゃあ俺はそれを言わせたい」


「え…、それはっ」


「自分で言うんじゃなくて、言わせたい」


ひゅーっと風が吹く、風になびく前髪の隙間から見えた三枝先輩もう私のことなんか見ていなかった。ガチャッとドアが開いたから、三枝先輩の視線は開いたドアの方しか見ていなかった。


「三枝くん!またここにいたの!?」


「あ、栗原くりはらちゃん」


「もう授業始まってるから!」


「迎えに来てくれたの?」


「迎えに来てない!三枝くんがいないからでしょ、毎回室長の私が連れてくることになってるんだからちゃんとチャイムが鳴る前に教室にいてくれる!?」


ツカツカと屋上に入ってきていとも簡単に三枝先輩の腕を掴んだ。私が触れることが出来なかった三枝先輩の腕をなんのためらいもなく。


「栗原ちゃんもサボんない?」


「サボらない!」


「ひなたぼっこ気持ちいいよ?」


「それで毎回屋上いるのやめてよね!教室から遠いから!」


じゃあなんで毎回迎えに来るのかな?

いくら室長でも来なくたっていいのに。



だけど…



「栗原ちゃん、俺のこと好きでしょ?」



もうその瞳に私は映ってないから。


私が好きだって言ったところで、言わせたい相手は私じゃないことわかってるの。




だから教えてください。




三枝先輩を振り向かせる告白の仕方はどんな告白ですか?

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